ソーシャル・ディスタンス―人と人との寸法・家の寸法②

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みなさん、こんにちは!

前回は、コロナ禍により、ソーシャル・ディスタンスという言葉が
私たちの生活に浸透してきましたが、
その社会的距離とは実際にどれくらいのことを
示しているのかということをお伝えしました。

今回は、その「ソーシャル・ディスタンス―人と人との寸法・家の寸法①」に続き、その②をお届けします。

尺とフィート

フィートとインチのように、伝統的な寸法は日本にもあります。

尺貫法と言われる、尺・寸・間・畳・坪・貫目などの単位です。

しかし、くしくもホールが近接学を発表した1966年に、日本では商取引などでの
使用が禁止されました。

メートル法が一般的な単位となって家具の寸法を測る時には、
メジャーを用意してセンチメートル単位で測ります。

成年男性の平均身長は5尺6寸1分といわれても、
多くの人はピンときません。

でも、住まいの面積では、
7.5㎡といわれるよりも、
4畳半と言われた方がすぐにわかります。

そして1畳分の広さは、ちょうど大人1人が横になって寝そべることができる広さです。

これが1m×2mになるとちょっと合わない感じがします。

他にも、八寸膳とか男雛の持つ笏(コツ)をシャクと呼ぶのも、
尺寸の名残です。

また、日本の伝統楽器の尺八は、
その名前の通り1尺8寸=18寸=約55㎝の長さがあります。

この尺八を、欧米のインチで表現すると
21.5インチとなり、まったく違う感じがします。

ところが、フィートで表現すると
1.8フィートとなり、じつはとても近い寸法です。

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じつは、尺とフィートはほとんど変わらないのです。

同じように畳の短辺の長さである半間=3尺は、3フィート=1ヤードで表され
4㎜ほどしか違いません。

ゴルフやフットボールで使われている距離感覚も、日本人としては畳が敷いてあると
イメージすればちょっと生活感覚になります。

寸とインチで大きな違いを感じるのは、
日本の尺が10進法であるのに対して、
欧米の単位が12進法であることから
生まれています。

それぞれの国には
特有の歴史や文化があり、
生まれてきた寸法や単位に違いがあるのは
当然のことです。


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そこでメートルという国際的な単位で
表記することが定められました。

でも日本で畳や坪が残っているように、
どの国も古くからの寸法を大切にしながら
メートルを使っています。



ヒューマン・スケール

尺やフィートという単位は、
生活に密接して生まれてきた寸法であり、
その起源は身体寸法、つまりヒューマン・スケールにあると
考えられています。

そして尺とフィートは、改めて同じ寸法です。

欧米の食文化によって体格も大きくなった
現代の日本人には、昔の尺寸では
古くて1メートル単位で空間を作る方が良いと、
言われることがありますが、

昔から体格の良い欧米でも、
尺と同じフィートが使われていたことを考えると
簡単に信じることはできません。

逆に、人に心地よい寸法としてのヒューマンスタイルは、
おそらく世界に共通しているのではないでしょうか。

尺とフィートが、ほぼ同じ寸法になっていても、
起源はまったく違うものです。

どちらも同じ身体尺として、文字通りの呼び方に
表れています。

東洋では、手で測り、西洋では足で測ります。

「尺」の漢字は、手の親指を広げた時の他の指との形状を
象形文字としたものです。

「フィート」は英語の「foot」の複数形です。

まさに手と足の違いです。

数え方も尺では、
親指を開いたり閉じたりしながら数えます。

それはちょうど尺取虫のような
動きになります。

足で数えるのも、
安定しない歩幅ではかるよりも、
つま先にもう一方の足のかかとを
あてながら考えます。

この尺とフィートがそれぞれ
歴史の中で尺度として使われるうちに
少しずつ変化して、
左の現代の寸法にたどり着きました。

人間の骨の中にも、
尺骨という骨があります。

腕の手首から肘まである2本の骨のうち、
小指の方につながっている長いほうの骨です。

この骨もちょうど長さが1尺ほどあり、
日本だけの骨の名前です。

この尺とフィートを繋げてくれる興味の湧く話があります。

1487年頃に、レオナルド・ダ・ヴィンチによって描かれた
『ウィルトウィルスの人体図』です。


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古代ローマ時代の建築家ウィルトウィルスの記述をもとに
ダ・ヴィンチが人体のプロポーションを研究した
ドローイングです。

この中の数ある人体寸法の比率に、
前腕と足の長さが等しいとあるのです。

現代になって、フランスの世界的な建築家コルビュジェも、
ダ・ヴィンチやウィルトウィルスの比率と数学的な黄金比を
組み合わせて『モデュロール』という基準寸法を
考案しました。

機能的であり、かつ美しさとの調和がとれた
建築物への設計に活用しています。

この本では、冒頭から
「メートル法は建築の本道を外している」(吉阪隆正訳)と語り、
基準となる寸法は、ヒューマン・スケールの6フィート=182.9㎝としています。

じつは左の日本の尺も、
伊能忠敬が日本地図を作った時から
使われている寸法です。

「ソーシャル・ディスタンス―人と人との寸法・家の寸法③
」に続く…

出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

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