家づくり小噺

コンパクト・コンセプト―暮らしを豊かにする広さとは?③

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みなさん、こんにちは!

前回は、日本の新築の戸建て住宅は世界と比較して
どれくらい広いのか、そしてどのように変化していってるか
をお伝えしました。

その③をお伝えします。

広さと豊かさ

そんな東京では、新築の戸建住宅を取得しようと思えば、
最低でも5千万円から憶の予算を確保しなければなりません。

それも土地取得費が高いことを勘案すれば当然のことですが、
生活する家族は都市部も郊外も大きな違いはないはずです。

広い土地があり、家に予算がかけられるからといって、
東京の平均的な面積である110 ㎡~114㎡よりも広い家でなければ、
暮らせないということはないはずです。

確かに貸家に暮らすよりも持家であることは、
資産を失うばかりにならない点で有利になりますが、
家を持つことがすべてではありません。

同時に、生活を豊かにするためには、
ちょうどよい家のサイズにして、日々の生活にも予算を配分する方が賢明です。

住宅も豊かさを広さに求めてきた時代は終わり
本当の豊かなライフスタイルに着目している人が増えてきていることが、
住宅面積の減少というトレンドを招いているのです。

重ねて加えるとすれば、
それでもまだフランスやイギリスよりも広いのです。


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それと同時に、住宅取得も夢やゴールではなく、
QOLを向上させるための必須アイテムのひとつになってきています。

住宅の品質は、地震や寒さの心配をしない家が大事な要素であり、
「小さな家」は消費するヱネルギー量も少なく環境に貢献することにもなります。

たとえ小さな空間であっても、工夫を重ねて使いこなすことが、
なによりもの生きがいになりうるのです。

つまり、コンパクトであることがコンセプ卜の時代に
なってきているのです。

建築の巨匠コルビュジェの100年前の「小さい家」が、
まるで現代の私たちに語り掛けてくれているようです。

スペースの工夫

『小さな家』では、老夫婦が暮らすのに64m2で、
十分に足りています。

さすがに子育て世代であれば、
さらに子ども部屋も必要不可欠な時期があります。

しかし、長いライフスタイルの中では、
それほど遠くない将来に子ども達は家を卒業してゆきます。

逆に、我が子が育って旅立つことを願わない親はいないと思います。

子どもがいなくなったその後に、
いたずらに部屋を余らせて放置しておくことになっては、
大切な家を使いこなしているとはいません。

それを考えると、必要とされる子ども部屋は、
最小限で、考えておけばよく、さらには可変の間仕切りによって部屋
のサイズも変えられるように考えておくことです。

また、たとえば子ども部屋の空間の活用法は、
図面の上で検討するのは難しいばかりです。

広さだけではなく、高さを上手に活用することで変わります。

それは子ども部屋に隈られた話ではなく、
小さな空間であっても、現実の生活の中で工夫を凝らせば、
想像以上の使いこなし方も発見できるはずです。

家具なども、平面図で配置するよりもずっと効率的な配置が見つかるものです。

同じように、廊下の幅も平面図で検討すると75㎡以上の幅を必要としますが、
生活の中では、その半分のスペースでも行き来ができることもあります。


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廊下や通路などを極力省くのも、大事な空間活用術の基本となるでしよう。

そのかわり、小屋裏などのちょっとした空間も活かせる場所は
できる限り有効に活用します。

収納が確保できれば、それだけ生活空間を広げることにつながります。

そしてなによりも、家の大きさに直結しているのは予算です。

予算のために家の性能を低下させることは、
結果的に良い選択とは考えられません。

それに対して、少しでも面積を小さくすれば、
予算を抑えられることは明白です。

ウッドショックを筆頭に、建材価格も上昇傾向にあり、
人手不足が常態化している建築業界では人件費も同様に上昇傾向にあります。

その上、家は持つだけではなく生活を楽しむことを大事にしなければなりません。

家づくりのコンセプ卜に、“コンパクド'を求めるトレンドは
これからも続くことが予想されます。


出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

コンパクト・コンセプト―暮らしを豊かにする広さとは?②

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みなさん、こんにちは!

最近、面積が広いお家ではなく、
狭いお家の方がよく建てられているのはご存じでしょうか?

それには、様々な背景や要因があります。

その②をお届けします。

ウサギ小屋

「小さな家」といえば、伝説の建築家のコンセプトよりも
日本人の家として例えられた「ウサギ小屋」を思い浮かべる人も
多いのではないでしょうか。

生活の基本である食・衣・住も、グルメやファッションといい替えれば、
日本は世界でもトップクラスの食衣文化を持った国になっています。

しかし住文化は、残念ながら決して先進とは思われていません。

「ウサギ小屋」という表現は、
欧州共同体が出した『対日経済戦略報告書』(1979)に
書かれたことに始まります。

いかにも狭い家に日本人が住んでいるかのように感じてしまいますが、
決して狭いだけの意味で使われているわけではありません。

それはそうです。その原文はフランス語で書かれていますが、
そのフランスを代表する建築家のコルビュジ工が前項で書いたように
「小さい家」をコンセプ卜にして近代建築を生み出したのですから。

さらに、欧米の住宅との面積を比較してみると「ウサギ小屋」が真実であるとは思えません。
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ここでは、貸家を除いて、各国の持家で比較しています。

アメリ力の住宅面積が大きいことは一目瞭然ですが、
日本はドイツとわずかな差であり、
フランスやイギリスよりも広いことがわかります。

フランスとの10㎡の差は、
6畳一間分に相当し、イギリスとの差は30%もあって
16畳分もの差となります。

単に狭いという意味での「ウサギ小屋」という言葉で
日本の住宅を表現するのは、
持家住宅では不適格であることが良くわかります。

ただ、隣に日本の貸家の面積も記載してみました。

持家の面積が小さいイギリスでも、
貸家面積は75㎡もあって、フランスドイツもそれほど変わりません。

じつは、日本の貸家の面積は欧米に突出して狭いのです。

こうした貸家の多くは集合住宅になっていて、
戸建に比べて狭い傾向にあります。

ウサギの植のように並べられた狭い集合住宅から、
列をなして仕事場に向かう日本人の姿を例えたのが、
本来の意味での「ウサギ小屋」の例えとなっているのです。

トレンド「小さな家」

家の広さは、そのまま豊かさを象徴しているともいえます。

欧州と比較して日本の面積が昔から広かったわけではなく、
世界2位までの経済成長と共に実現できた住環境と考えられます。

しかし、その経済力も中国に抜かれ、
経済成長も停滞している今は、
豊かさに対する考え方も変わりつつあると思われます。

つまり、家の広さが
そのまま豊かさになるとは限りません。

それは近年の新築持家住宅の面積の動向を見るとわかります。
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大きなトレンドとして、住宅面積が小さくなっていることは明白です。

もちろん多くの要因が重なってトレンドとなっているものです。

持家全体の平均値より、
木造住宅の平均値が低いのは、
木造を除く鉄骨造や鉄筋コンクリート造などよりも
面積が小さいということです。

比較的予算が高くなる非木造の方が、
大きな家を建てているのです。

東京で建てられている住宅の面積は
さらに小さくなります。

すでにフランスの住宅に近づきつつあります。

あえて、フランス人の満足感を理解し始めていると表してみましょう。

その上、東京では非木造の建築物も多く、
木造住宅に隈った面積ではグラフの下枠よりもさらに下の110.0㎡台まで、
小さくなる傾向にあります。


出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

コンパクト・コンセプト―暮らしを豊かにする広さとは?①

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みなさん、こんにちは!

皆さんのご自宅は、一軒家だったり、マンションだったり、賃貸のアパートだったり、
それぞれ家の大きさがあると思います。

そこで、暮らしを豊かにする大きさとは
どのくらいなのでしょうか?

広すぎると、掃除が行き届かなかったり、
狭すぎても圧迫感があり窮屈に感じてしまうこともあります。

それでは、一体どのくらいの広さが最適なのか
これから分析していきたいと思います。


世界遺産の小さな家

多様な動植物を有する奄美ー沖縄の島々が世界自然遺産に登録勧告されました。

イリオモテヤマネコやアマミクロウサギなど、
進化論の中でも希少な動物たちが生き残る奄美沖縄の大自然は、
屋久島、白神山地、知床、小笠原諸島に続く、
日本で5番目の世界自然遺産になります。


世界遺産はユネスコ(国連科学文化機関)が、
将来に残すべき遺産として定めているものです。

自然遺産には地球の生み出した雄大な自然が選ばれ、
文化遺産は人類が生み出した建造物などが選ばれています。

日本の文化遺産としては、
世界最古の木造建築物である法隆寺や、
姫路城などの城郭、そして産業新興や信仰としての場があります。

その世界文化遺産の中で、
2016年、近代建築運動への貢献ということで、
コルビュジェの建築群が選ばれました。

主にコルビュジ工が活動していたフランスが中心ですが、
日本の上野にある西洋美術館も対象になっています。

じつは、コルビュジ工の世界遺産群の多くは、
集合住宅を含めた住宅で、今でも実際に住んでいる個人邸もあるほどです。

そうした世界遺産の中に、スイスのレマン湖のほとりに、
コルビュジェが両親のために建てた、
その名もUNE PETITE MAISON『小さな家』があります。

『小さな家」は、4m×16mしかありません。

日本流の面積で表現すれば、わずか19坪ほどです。

この『小さな家』を建てて、
30年以上も経ってからコルビュジェは本を
執筆するほど思いを込めていました。

コルビュジェlユ「小さな家」の設計にあたり『住む機械』としての家のあり方への思いを込めました。

家としての最小限の実用性と、必要な機能をできる限り小さい面積で考えています。

両親がくつろぐリビングと寝室をつなぐように、コルビュジェの特長でもある横長の窓があり、
レマン湖の壮大な風景が室内に取り込まれます。

他には、庭との聞にゲストルームがあるだけの家です。


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およそ100年も前に建てられた家ですから、
現代のライフスタイルを考えると、間尺に合うはずもないと思えるのですが、
コンパク卜な設計には、改めて学ぶことも多いようです。

多くの建築を学ぶ人たちが、この家を参考にしています。

やがてコルビュジ工は建築家として近代建築への道を聞き、
文字通り世界中で活躍し、日本を含めて多くの固に遺産を残すことになりました。

その一方、コルビュジ工は著述の中で施行したビルダーのことにも触れています。

コルビュジ工の活動の拠点であったパリからは遠く離れていて、
職人を連れて行くわけにもいきません。

結局、建設地であるスイス、レマン湖の地元のビルダーが手がけています。

結果的には任せっきりになり、その上、予算も厳しかったので、
恐らくビルダは苦労をしたことでしょう。

地元のビル夕、というのは工ッセンシャルワー力ーで、
地域の住環境を維持するためには欠かせない存在です。

建築家は世界で活躍できても、ビルダーはずっと地域にいて貢献しているのです。

世界遺産となる『小さな家』も決して例外ではありませんでした。

そして「小さな家』というコンセプ卜は、いつの時代にも残されているものです。

「コンパクト・コンセプト―暮らしを豊かにする広さとは?②」に続く…

出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

ソーシャル・ディスタンス―人と人との寸法・家の寸法③

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みなさん、こんにちは!

前回は、日本人で使われている尺と欧米で使われるフィートが
ほぼ同じ長さを示していることから、
人に心地いい長さは世界で共通しているのではないかというお話をしました。

今回はその「ソーシャル・ディスタンス―人と人との寸法・家の寸法②」に続き、その③をお届けします。

メートル法

一方、メートルはまったく違う定められ方の寸法です。

最初は、フランスのドランブルとメルシャンが、
地球の子午線の長さの4分の1を測定し、
その1千万分の1を1メートルとしたのが
始まりです。

しかし地球は真球ではなく、
安定した寸法を定めるために
現在では光の速度で定義されています。


1メートルとは、光が真空中で
1/299,792,458秒間に進む距離というのが
国際的な定義です。

日本ではメートル表記を
使うことが法律で定められていますが、
表記上のルールであって
1メートル単位で使おうと決めているわけでは
ありません。

地球の大きさや光の速さで、
家の寸法を決めても、
とても使いやすい暮らしになるとは思えません。

メートル単位で組み上げても、
家具を含めた生活空間は、
尺寸で設計する方がよさそうです。


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例えば、家具屋に並んでいる収納家具は、
その多くが40㎝か60㎝の奥行きになっています。

また、本棚などで薄型の収納を探すと
奥行は30㎝です。

収納家具も結局、
1尺、1尺5寸、2尺の寸法でまとめられます。

洋服などをしまうことを考えると
タンスの奥行き60㎝=2尺の方が使いやすく、
キッチンや洗面の奥行きも同じです。

これらは1mの半分の50㎝では足りません。

また水回りなどのサニタリー小物を収納するには、
奥行きは2尺でも大きすぎて、1尺=30㎝もあれば十分です。

同じように家具店で探すと、
棚に細かく分けておけるような
1尺の収納小物がたくさんあります。

4フィート=社会的距離

逆に、欧米の住宅設計では、4フィートの寸法が使われることも多くあります。

たとえば、少し広めの廊下の幅を
4フィート=4尺にします。

通常の3尺幅で壁があると、
壁の厚さもあるので、
廊下の有効幅はさらに狭くなります。

もし、車椅子を使うことを想定すると
3尺では使いにくい廊下となります。

このようなことから、廊下に1m幅が必要ともいう人もいます。

確かに少しでも広いほうが
通りやすいことは間違いありません。


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そこで、車いすではなく、
廊下ですれ違うことを想定して
検証してみましょう。

一般的な人の肩幅は
1尺5寸ありますので、
1m幅では、やはり壁の厚さもあるので
まだ足りません。

この時に、4尺幅の廊下であれば、
人がすれ違うことも容易になります。

もちろん、さらに広い4尺5寸となれば、
もっと余裕ができますが、
寸法は余らせてももったいないのです。

日本では、4尺という長さは
あまり使われませんが、
欧米では4フィートの廊下が多く作られています。

メートル法では、
1,213㎜という中途半端な寸法に感じますが、
尺寸やフィートがヒューマン・スケールから生まれているからこそ
使いやすさえを含めた有効な寸法になるのです。

あらためて、ソーシャル・ディスタンスは、
この4尺=4フィートとしています。

初めて会う人と畳の上に2人でいるとイメージすると、
ちょっと密な感じがしませんか。

これからもまだまだ、
感染対策の必要性は続いてゆくようです。

出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

ソーシャル・ディスタンス―人と人との寸法・家の寸法②

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みなさん、こんにちは!

前回は、コロナ禍により、ソーシャル・ディスタンスという言葉が
私たちの生活に浸透してきましたが、
その社会的距離とは実際にどれくらいのことを
示しているのかということをお伝えしました。

今回は、その「ソーシャル・ディスタンス―人と人との寸法・家の寸法①」に続き、その②をお届けします。

尺とフィート

フィートとインチのように、伝統的な寸法は日本にもあります。

尺貫法と言われる、尺・寸・間・畳・坪・貫目などの単位です。

しかし、くしくもホールが近接学を発表した1966年に、日本では商取引などでの
使用が禁止されました。

メートル法が一般的な単位となって家具の寸法を測る時には、
メジャーを用意してセンチメートル単位で測ります。

成年男性の平均身長は5尺6寸1分といわれても、
多くの人はピンときません。

でも、住まいの面積では、
7.5㎡といわれるよりも、
4畳半と言われた方がすぐにわかります。

そして1畳分の広さは、ちょうど大人1人が横になって寝そべることができる広さです。

これが1m×2mになるとちょっと合わない感じがします。

他にも、八寸膳とか男雛の持つ笏(コツ)をシャクと呼ぶのも、
尺寸の名残です。

また、日本の伝統楽器の尺八は、
その名前の通り1尺8寸=18寸=約55㎝の長さがあります。

この尺八を、欧米のインチで表現すると
21.5インチとなり、まったく違う感じがします。

ところが、フィートで表現すると
1.8フィートとなり、じつはとても近い寸法です。

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じつは、尺とフィートはほとんど変わらないのです。

同じように畳の短辺の長さである半間=3尺は、3フィート=1ヤードで表され
4㎜ほどしか違いません。

ゴルフやフットボールで使われている距離感覚も、日本人としては畳が敷いてあると
イメージすればちょっと生活感覚になります。

寸とインチで大きな違いを感じるのは、
日本の尺が10進法であるのに対して、
欧米の単位が12進法であることから
生まれています。

それぞれの国には
特有の歴史や文化があり、
生まれてきた寸法や単位に違いがあるのは
当然のことです。


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そこでメートルという国際的な単位で
表記することが定められました。

でも日本で畳や坪が残っているように、
どの国も古くからの寸法を大切にしながら
メートルを使っています。



ヒューマン・スケール

尺やフィートという単位は、
生活に密接して生まれてきた寸法であり、
その起源は身体寸法、つまりヒューマン・スケールにあると
考えられています。

そして尺とフィートは、改めて同じ寸法です。

欧米の食文化によって体格も大きくなった
現代の日本人には、昔の尺寸では
古くて1メートル単位で空間を作る方が良いと、
言われることがありますが、

昔から体格の良い欧米でも、
尺と同じフィートが使われていたことを考えると
簡単に信じることはできません。

逆に、人に心地よい寸法としてのヒューマンスタイルは、
おそらく世界に共通しているのではないでしょうか。

尺とフィートが、ほぼ同じ寸法になっていても、
起源はまったく違うものです。

どちらも同じ身体尺として、文字通りの呼び方に
表れています。

東洋では、手で測り、西洋では足で測ります。

「尺」の漢字は、手の親指を広げた時の他の指との形状を
象形文字としたものです。

「フィート」は英語の「foot」の複数形です。

まさに手と足の違いです。

数え方も尺では、
親指を開いたり閉じたりしながら数えます。

それはちょうど尺取虫のような
動きになります。

足で数えるのも、
安定しない歩幅ではかるよりも、
つま先にもう一方の足のかかとを
あてながら考えます。

この尺とフィートがそれぞれ
歴史の中で尺度として使われるうちに
少しずつ変化して、
左の現代の寸法にたどり着きました。

人間の骨の中にも、
尺骨という骨があります。

腕の手首から肘まである2本の骨のうち、
小指の方につながっている長いほうの骨です。

この骨もちょうど長さが1尺ほどあり、
日本だけの骨の名前です。

この尺とフィートを繋げてくれる興味の湧く話があります。

1487年頃に、レオナルド・ダ・ヴィンチによって描かれた
『ウィルトウィルスの人体図』です。


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古代ローマ時代の建築家ウィルトウィルスの記述をもとに
ダ・ヴィンチが人体のプロポーションを研究した
ドローイングです。

この中の数ある人体寸法の比率に、
前腕と足の長さが等しいとあるのです。

現代になって、フランスの世界的な建築家コルビュジェも、
ダ・ヴィンチやウィルトウィルスの比率と数学的な黄金比を
組み合わせて『モデュロール』という基準寸法を
考案しました。

機能的であり、かつ美しさとの調和がとれた
建築物への設計に活用しています。

この本では、冒頭から
「メートル法は建築の本道を外している」(吉阪隆正訳)と語り、
基準となる寸法は、ヒューマン・スケールの6フィート=182.9㎝としています。

じつは左の日本の尺も、
伊能忠敬が日本地図を作った時から
使われている寸法です。

「ソーシャル・ディスタンス―人と人との寸法・家の寸法③
」に続く…

出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

ソーシャル・ディスタンス―人と人との寸法・家の寸法①

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みなさん、こんにちは!

コロナ・パンデミックの中、
ソーシャル・ディスタンスという言葉を
よく聞くようになり、感染防止のためにの社会的距離を保つことが
進められています。

最先端のスーパーコンピュータでも
シミュレーションが行われ検証もされていますが、
その距離にまつわる寸法の話から、住まいに関わる
寸法のことを考えてみました。


人と人との距離

コロナ・パンデミックにより、レジ前やATMの前など、
行列のできる場所には、立ち位置を表す足のマークが書かれています。

すでに、ソーシャル・ディスタンスは生活の一部になっています。

ところで、この「社会的距離」というものは、
具体的にどのようなもので、どれくらいの寸法を表すのでしょうか。

ちょっと、興味が湧いてきませんか。

日本が世界に誇るスーパーコンピュータ富岳で
計算して距離を定めているわけでもなく、
ややもすると報道機関によっても多少の違いもありそうです。

どうやら、この源は半世紀も前の1966年に発表された学説にありそうです。

アメリカの文化人類学者エドワード・T・ホールは、人と人との距離についての研究を
近接学の『パーソナルスペース』として定義しました。

人は無意識のうちに、4つの対人距離をゾーンとして使い分けているというのです。

夫婦や恋人の親密関係から、個人的な付き合いとなる個体距離。

会話ができる社会距離と、講演などで使われる公衆距離です。

この三番目に使われているのが、社会距離のゾーンです。

さらに、E.T.ホールは、それぞれのゾーンを、近接相と遠方相に分けています。

その概要をまとめると下の図の表のようになります。


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社会距離の近接相は、
知らない人同士で会話できる距離であり、
寸法であらわすと120㎝~180㎝ほどの距離です。

この定義によれば、「ソーシャルディスタンス」とは、
よく知っている仲でも、知らない人と話す距離に離れること
と表現することができます。

パンデミック下で良く聞かれる表現では、
1mから2m離れてと言われますが、
より感覚的な距離になります。

割り切れない細かい寸法のように感じますが、
それは、これらの距離をE.T.ホールが、
フィートで表現しているからです。

最も近い近接相は半フィートから始まり、
密接距離は1.5フィートまでとしています。

さらに、4フィートまでが個体距離、12フィートまでが社会距離、
そして24フィートまでが公衆距離という定義です。

私たち日本人には、ピンとこないかもしれませんが、
アングロサクソンの寸法にはフィートとインチが使われています。

そして現代の生活の中でも生きています。



出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

香りと住まい―安らぎの瞬間③

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みなさん、こんにちは!

前回は、ネズミの実験結果から、動物と匂いの関係について分析をし、
匂いが健康に影響を及ぼすということをお話ししました。

今回は、その「香りと住まい―安らぎの瞬間②」に続き、その③をおとどけします。

木の匂いがする家

香りと住まいを考えるのには、木のにおいのする家は、最も大切な家づくりのポイントになるかもしれません。

しかし、昨今の住宅に匂いを設計することは、意外と難しいことです。

匂いについては、むしろ消臭の方向にあるといっても過言ではありません。

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それは、今住まわれている住空間を見渡していただいてもわかると思います。

多くがビニールクロスで仕上げられ、いつの間にか私たちは
匂いのしない化学物質で囲まれた現代的な空間に居ます。

残念ながら床にフローリングを採用しても、
傷の予防や質感を統一するために厚く塗装されたフローリングでは、
新築時でも木の匂いがすることは少なくなりました。

そして、人工的な芳香剤で作られた匂いの環境にならされてしまいました。

また、珪藻土や漆喰などのオーガニックな素材は、匂いを吸収する機能もあります。

せっかくの木の匂いを活かそうとしても、実際に意外と押さえられてしまうこともあります。


香りが未来を創る

日本人は、古来より木の家を好んできました。

しかも、いたずらに塗装を重ねず、木そのものの肌合いを大切にしてきました。

職人さんの技によって削られることで、木の持つつやの美しさが活かされてもいました。

さらには手をかけて磨かれることで、色が深みを増し、新しい艶が生まれます。

それはとりもなおさず、木のにおいがする家でもあります。

本格的な木造りの家ではなくても、部分的に無垢の木材を使うことで、
木の匂いのする家を検討することもできます。

メンテナンスなど、多少の手間がかかることを覚悟してでも、木の匂いには不思議な力が宿っています。


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マンション暮らしが経験したことのない高校生が、
木の匂いのする家に入った時に「懐かしい匂いがする」という印象を語りました。

木の家はまるで日本人の遺伝子に組み込まれている記憶のように感じます。

逆にその意味では、これから育つ子供やお孫さんを抱えた家庭では、
新しい家の香りの経験を重ねることはとても大切です。


その木の匂いを嗅ぐ度に、親とのふれあいや感じたことを思い出すことでしょう。

たとえば、育ってきた実家の風景を思い出す匂いはありませんか。

記憶を掘り起こすよりも先に、匂いを思い出すと頭の中に情景が広がってきます。

今の家に育ち、大人になってゆく子供たちのためにも、
実家の記憶となる匂いの設計も忘れないでほしいことです。


出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

香りと住まい―安らぎの瞬間②

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みなさん、こんにちは!

前回は、匂いに関する研究が今まで進められてきていますが、
いまだ未解明な部分が多いというお話しをしました。

今回は、その「香りと住まい―安らぎの瞬間①」に続き、その②をお届けします。

匂いと思い出

確かに嗅覚というのは、記憶に直結していると感じることがあります。

ある特定の匂いを嗅いだ時に、まるでフラッシュバックのように昔の記憶を呼び覚まします。

たとえば塩素の匂いを嗅ぐと、子どものころに一生懸命泳いだ小学校のプールを思い出します。

先生が消毒のために白い塊を投げていました。

道に水を撒くと、埃がたつようなにおいがします。

太陽が照りつけた日向の匂いです。

真夏の強い日差しを思い出します。

新聞を開くとインクのにおいがします。

この匂いを昔の人は父親の匂いと同じという人も多いようです。

こうした匂いが記憶を呼び覚ます効果のことを、プルースト効果といいます。

フランスの作家であるマルセル・プルーストが、匂いによって思い出される幼少の記憶を書いた「失われた時を求めて」という小説に由来します。

匂いによって想起される記憶というのは無意識的なものです。

覚えようとしたり、思い出そうとしたりして意識されるものではありません。

しかし嗅覚と脳の関係から、私たちはごく普通に生活している中でも、匂いと記憶を脳の中に刻みながら生きているのです。

また、日本人は匂いについても敏感で、香道と言う芸術も築き上げました。

香道の世界では、香は嗅ぐのではなく聞くと言います。

この香道の中でも、源氏香では匂いを源氏物語の記憶と重ねて楽しみます。

使われるのは六国と呼ばれる6つの香りですが、こうした香道に使われてきたのは、香木であり、木材にはいろいろなにおい成分が含まれています。
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こうした匂いが記憶を呼び覚ます効果のことを、プルースト効果といいます。

フランスの作家であるマルセル・プルーストが、匂いによって思い出される幼少の記憶を書いた「失われた時を求めて」という小説に由来します。

匂いによって想起される記憶というのは無意識的なものです。

覚えようとしたり、思い出そうとしたりして意識されるものではありません。

しかし嗅覚と脳の関係から、私たちはごく普通に生活している中でも、匂いと記憶を脳の中に刻みながら生きているのです。

また、日本人は匂いについても敏感で、香道と言う芸術も築き上げました。

香道の世界では、香は嗅ぐのではなく聞くと言います。

この香道の中でも、源氏香では匂いを源氏物語の記憶と重ねて楽しみます。

使われるのは六国と呼ばれる6つの香りですが、こうした香道に使われてきたのは、香木であり、木材にはいろいろなにおい成分が含まれています。

匂いと健康

さらに一般的な木の香りにも、人の健康に関する様々な効用があることもわかってきました。

木材が放つ芳香のフィトンチッドとは、植物の殺菌作用を指した言葉です。

樹木が身を守りながら成長するために、菌や害虫を排除する目的で獲得した能力のひとつです。

この樹木が出すフィトンチッドが溢れている森林浴をすれば、人は生き返ったような気持ちになります。

木の香りにはリラックスしたり、ストレス解消したりする効果があるのです。

しかも、フィトンチッドの含有量は日本の木材の方が多いと言われてます。

木の匂いと言えばヒノキです。

ヒノキの香りには、鎮静作用があることが、脳波の測定から明らかになっています。

昔から憧れになっているヒノキ風呂は、気分を安らげ疲れをとるベストな組み合わせです。


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また、スギの香りが睡眠促進に効果があるという実験も行われています。

スギの香り成分であるセドロールと睡眠に関する実験です。

セドロールの匂いがあるのとないのとでは、総睡眠時間も睡眠効率も変わります。

スギの香りによって睡眠の質が良くなっているのです。

日本の線香は、基本的に杉の葉から作られています。

乾燥させて挽いたものに水を加えて固めるだけで、杉の葉のヤニ成分で固まり線香になります。

こうした香にも気持ちを落ち着かせる効果があります。

1986年に静岡大学農学部が行った有名なハツカネズミの生存実験があります。

木製と金属製・コンクリート製のケージで、幼いハツカネヅミを飼育し、20日後の生存率を比較しました。

もちろん湿度や温度や給餌の条件は同じです。


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結果は、木製のケージでは85%が生存し、金属製では約40%、コンクリートでは7%しか残りませんでした。

温熱環境によってコンクリートでは体温を奪われた母ネズミが授乳をやめたなど、多くの原因があると思われますが、木の香りによるストレス解消も要素のひとつにあると思われます。

その後も、木製のケージのネズミはストレスが高まり攻撃的になっていました。

金属やコンクリートの匂いには、動物を安らかにしてくれる匂い成分はあまりありません。

嗅覚は他の感覚とは違い、脳に直結して動物の本能にも直接的に影響を及ぼす感覚です。

動物が生存するために、最初に身につけてきた感覚だからこそ、臭覚は本能に近いのです。

まさに、生きるための感覚が嗅覚なのです。


出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

香りと住まい―安らぎの瞬間①

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みなさん、こんにちは!

普段の生活でも、消臭剤や芳香剤がよくつかわれていますが、
匂いは一度気になると鼻につくものです。

一方、芳香植物の匂いを使って、
ストレスを解消したり
心身をリラックスさせるアロマテラピーも
流行っています。

香りの種類も豊富に揃えられ、
生活の中に安らぎの瞬間を演出することtができます。

そんな香りのテクニックを住まいづくりに活かすことはできるのか、
そんな香りについて分析していきます。

人間の五感


私たち人間はさまざまな刺激を、目や耳・肌・口・鼻で感じています。
光を見て、音を聞き、肌合いを感じ、味わい、匂いを嗅ぐことは、
視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚の5つの感覚です。

これらの感覚が、科学的に研究分析されるとちょっと面白い話があります。


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たとえば、視覚は3つの要素、味覚は5つ、聴覚は7つの要素で応用されています。

そして触覚は、一つあるいは2つの要素です。

目では光を見ていますが、さまざまな波長をもつ光のうち、緑色の波長である555nmを中心にして、約400~700nmの波長の刺激を感じているのです。

これを比視感度といい、これらの光の組み合わせによって色を識別しています。

その色彩については、色の三原色といわれるR(赤)G(緑)B(青)の組み合わせで分析して色を再現しています。

そして、私たちが普段見ているカラーテレビを発明し、映像を再生しました。

視覚にとっての要素は、三原色です。

次に人間の口では、昔から5味あるといわれています。

甘・辛・塩・酸・苦の5つの味です。

ほとんどの料理の味も、これらの組み合わせで評価しています。

子どものころに酸味や苦味が苦手なのは、腐ったものや毒を判断するために過敏になっているそうです。

大人になって分別がつくようになると酸味や苦みもおいしく感じるようになります。

耳では空気の振動を捉えて、聞き分けています。

20Hzから20,000Hzの波長の空気の振動を感じる器官です。

人間は、その波長を1オクターブの単位で分け、音階を組み合わせて音楽を生み出しました。

1オクターブは、ドからシまでの主要7音階で区分しています。

人の肌は精度の高い、圧力センサーのようなものです。

精密なセンサーでも計測できない変化を、職人は指先で感じているという話もよく聞きます。

温冷点や圧点などもありますが、基本は触れている感覚ひとつが中心です。

では、鼻で感じる嗅覚というのはどうでしょうか?

ところが匂いを言葉で表現することは難しく、しかも順応することで匂いを感じなくなることもあります。

実は香りについては、まだ未解明の部分が多く残されているのです。


匂いの不思議

嗅覚の仕組みが分かってきたのはきわめて近年のことです。

2004年のノーベル医学生理学賞で「におい」を認識し記憶するメカニズムを解析したとして、アメリカの二人の科学者、R.アクセル博士とL.B.バック博士に賞が与えられました。

その授賞理由も「人類のもっとも謎に包まれた感覚」の理解を高めたことにあります。

この受賞からは、まだ10年もたっていません。


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しかも3色・5味・7音階のように単純な組み合わせではなく、約1000種の嗅覚受容体が働いているにあります。

さらにほかの感覚は脳の視床下部経由で大脳に届くのに対して、嗅覚は大脳辺縁系と連動して大脳の嗅覚野に届きます。

大脳辺緑系は脳の中でも最も古い部位の一つであり、動物に共通する機能として関連している部位です。

そして情動や記憶の形成にも関わりの深い部位でもあります。

つまり人が感じている匂いとは、その人の記憶や思い出とも深い関係にある感覚ということが分かってきたのです。


出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

省エネ住宅義務化への道―省エネを知らずに家は建てられない④

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みなさん、こんにちは!

前回は、省エネ住宅の適合判定をどのように行うのか、どんなことを建築士が説明しなければならないのかということをお伝えしました。

今回はその「省エネ住宅義務化への道―省エネを知らずに家は建てられない③」に続き、その④をお送りします。

省エネ住宅のメリット

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いずれは省エネ住宅に適合することが義務化される背景には、地球環境への取組があることを書いてきましたが、省エネ住宅にすることは、住まい手にとってのメリットもたくさんあります。

エネルギーを逃がさない家は、冬に冷え込むことも夏に熱中症の心配をすることもすくなくなります。

1年中、そして24時間快適な環境で過ごすことができます。

そして、快適な環境で過ごすことは、それだけでも家族の健康につながります。

国土交通省はこの健康メリットを強くアピールしています。

しかも、そんな快適な空間を維持するのにも、エネルギーの無駄遣いを省いているので費用負担が少なくなります。

その意味では、家計にも優しい家となります。

捨てるエネルギーにお金を払うより、少しでもローン返済に充てる方が得することは間違いありません。


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そのうえ、再生可能エネルギーとして太陽光発電などでエネルギーを創り出せば、さらに家計を支援してくれます。

電力買取り価格も安くなりましたが、使用する電力分を賄うことができれば、月々の電気代を無くすことも不可能ではありません。

太陽光発電や家庭用蓄電池は、日常だけでなく災害時に電力を確保するという点で頼りになります。

子ども達の将来のために環境を守ることはもちろんのこと、このようなメリットの多い省エネ住宅についてしっかりと検討しておくことは大切なことです。

新制度の施行を機に、建築士の方にしっかりお話しをきかれてみてはいかがでしょうか。

出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

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