家づくり小噺

ライティングの家学―明かりが生み出す空間②

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みなさん、こんにちは!

前回は、照明の明るさが日本と海外でどのように楽しみに違いがあるのか、照明の技術が進化しているということをお伝えしました。

今回は、その「ライティングの家学―明かりが生み出す空間①」に続き、その②をお送りします。

明かりの理論

電気による照明器具として白熱灯が、どの家庭にも普及したと思ったら、エネルギー効率の悪さですでに生産を中止しています。

さらに、その次世代の照明であった蛍光灯も、同様に生産をやめようとしています。

すでに明かりのない世界などは想像すらできないのですが、決して明かりが失われているわけではありません。

LED、そしてさらには有機ELという、新しい発光装置に変わろうとしているのです。

炎から電気に代わって、大きく扱いやすくなった光が、さらに進化して新しい光が生み出されているのです。

この間に光の基礎科学も進化して分析が進みました。照明器具の進化とともに、じつは明かりの質も選べる時代になってきているのです。


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たとえば、色の三原色は赤ー青ー黄です。

専門用語では、紅(Magenta)藍(Cyan)黄(Yellow)といい、これらの色を混ぜ合わせると、どんな色もつくれます。


これに対して光の三原色とは、レッドグリーンブルです。

私たちがテレビを見る時には、このRGBの三原色で表現された光を見て色を感じています。

黄色がグリーンに変わっただけのように感じますが、じつは赤とレッド、青とブルーは同じ色ではありません。

物の色に色合いや明るさ、そして鮮やかさの3つの要素があるように、光にも要素があります。

光の強度と波長と色温度です。

光の強度はカンデラやルーメン、ルークスという単位で表されます。

概念的には光の強度は、そのまま光の量であり、最終的には何畳用と部屋の大きさで考えられます。

次に、光の波長を代表するのは虹の7色です。

人の自に見える光は隈られていて、その外側にある赤外線や紫外線の光は、強い光であっても私たちの目には見ることができません。

この光の波長を、長いJISから並べると、赤樟黄緑ー青藍紫となります。この中に三原色の色が含まれています。

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そして3つ目の要素として、色温度(Kケルビン)というものがあります。

色温度は発光体の温度が高くなるほどに、光の色が赤い色から、白、青へと変化します。

この熱放射を定量的に測定することで色温度を表現します。

高い色温度ほど寒色系となり、色温度が低くなると暖色系となります。
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色彩工学では6500Kが標準の白とされていて、普通の太陽光は5~6000Kで、ほんのり黄色味となります。

これが夕陽になるとおよそ2000Kとなり赤味が強くなります。

じつは身の回りでも使われていて、アメリ力のテレビは6500Kを標準としていて、日本のテレビやパソコンの画面は9300Kの色温度に設定されています。

少し青昧が強いのですが、人が感じる白さの遣いが文化によっても遣うということです。
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色温度というと分かりにくいのですが、昔の電球の色と蛍光灯の色の差と聞けばわかりやすくなります。

日本人の方が蛍光灯を好むのです。

その蛍光灯も、電球色や白色昼光色など選べるようになりました。

この光の色の差が、下表のJIS規格でも色温度で設定されています。

現実の空間のライテイングを考える時には、さらに2つの要素が加わります。

演色性と輝度対比です。

演色性というのは、どれだけ自然光に近い色になるかを測ったものです。

モノが見えるのは、光がモノにぶつかり反射した色を感じているからです。

したがって光の質が変われば、モノの見え方も変わり、自然光に近いほど、自然の色に近くなります。この色の再現性を演色性といいます。

また輝度対比とは、対象物と周囲や背景の光の強さの差を表します。

暗い背景の中に、あまりに強い光があると目が肱みます。

光源が目線に入らないように設計することも大事なライティングの要素となるのです。

ライティングの家学―明かりが生み出す空間③」に続く…

出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

ライティングの家学―明かりが生み出す空間①

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みなさん、こんにちは!

夜になると、たとえ同じ空間であっても、昼間に感じていた雰囲気が大きく変わることがあります。

光の当たる角度が変わると見え方が変わり、そしてムードもかわります。

人類は、さまざまな光を発明することで暮らしの空間を変えるテクニックを手に入れました。

今回はそんな住まいの空間づくりに欠かせない、ライティングについて分析していきます。

人の明かり

自然の中では、太陽が昼と夜を作り、ほとんどの動植物はその自然の明かりに従っていきています。

光合成をする植物が太陽の光に向かうのは当然のことです。

動物では、天敵から逃げるために夜に行動する動物が、夜目が効くように目を進化させ、その獲物を捕らえるために捕食動物にも夜行性が生まれます。

残念ながら人間の眼は夜には不向きです。

でも、人間は夜にも光を創り出して活動を広げました。

長い人類の歴史の中で、さまざまな明かりを生み出し、今や都会は、不夜城となり、コウコウと光を放っています。


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普通に考えれば、最初の明かりは、火を扱い始めた時であったでしょう。

もちろん照明としてだけではなく、暖をとり、調理をし、身を守るためにも使われていました。

人類と火との付き合いが長いからこそ、西洋で暖炉が根強く残り、日本で囲炉裏に憧れを抱くのだと思います。

その炎を、小さくコントロールできるようになると、松明やかがり火のように明かりとしての用途ができます。

大きな炎では、キャンプファイアのように床面からしか得ることができなかった光が、少し高いところに掲げられます。

でも、炎は立ちのぼるので、天井には付けられません、

日本では、行灯のように障子紙を使ってうまく光を部屋中に拡散させる知恵を使っていました。

さらに炎は小さくなり、そしてオイルランプが生まれて壁に掛けられ、やがて天井から下げる明かりができるようになります。

自然の光は、太陽や月など天から降り注ぐものです。

それに対して、人口の明かりは床から始まり、少しずつ上がってゆきます。

そして電気の発明により、現代では上からの光も普通に得られるようになりました。

電気の明かり

電気の照明が生まれてからも、じつは明かりの進化が止まっているわけではありません。

現代の一般的な住宅は、白熱灯や蛍光灯などの照明器具によって生まれ変わりました。

何よりも使われている数が増えました。


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そんな中、天井からの明るい環境を求めるのは、日本人に特徴的な事といわれています。

海外のホテルに泊まった時に、あまり明るくない部屋の印象を感じている人も多いと思います。

特に天井の照明は少なく、スタンド等をうまく使いこなしています。

谷崎純一郎の「陰影礼賛」でも、単に明るいのではなく、暗さを楽しむことが書かれていますが、これが書かれること自体、日本人の明るさ好きが証明されているようです。

日本では、一般的な家庭の消費エネルギーの三分の一が照明や家電に使われています。

そのエネルギー問題も解決するように照明器具の技術も進化して、LEDによって、また新しいライティングの可能性が生まれようとしています。


出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

Timber Crisis 木材危機がくる⁉ ~コロナ禍がもたらした意外な影響~③

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みなさんこんにちは!

前回は、新型コロナウイルスの影響で、木材の価格がこれまでに比べて異常な高騰が起こっているということをお伝えしました。

国産材率の向上

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しかし、これだけの森林と木材を抱えていて、日本は多くを輸入に頼っているのが現状です。

2002年には木材の自給率は18.8%にまで下がりました。

日本の森から木材を伐ってくるよりも、外国から輸入した方が安く上がるのです。

70年という期間をかけて育ててきた木材が活用できないことは、森林事業者の活躍の場も失い、結果的には山も荒れることとなります。

環境的には、まさに大きなジレンマを抱えることとなりました。

こうしたことから、国産材の活用が推進され、2019年には37.8%まで回復してきました。

中でも丸太として輸入する木材が大きく減っています。
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じつは、国産材の動きもまた、新型コロナウイルスの感染拡大によって別の影響を受けています。

輸出入の停滞によって流通が止まり、国産材が余ってしまっています。

先物の不足感とは逆の動きです。
この状況を打破するために「過剰木材在庫利用緊急対策事業」を立ち上げ、時限的に国産材の活用を推進しています。

日本の木材も少しずつ輸出資源になろうとしているのです。

しかし先物取引として、海外木材の価格が高騰することは、国産木材にも大きな影響を与えることになると思います。

それはつまり、国産材の価格が上がることが強く懸念されます。

住宅を建設するには多くの木材を必要としていますので、新築住宅の価格も当然のように上がることが予想されます。

新型コロナウィルスのパンデミック以前から各種の経済対策が実施されて金利も極めて安くなり、住宅を手に入れやすい時期が続いていました。

加えて新しい生活様式に伴う住宅需要に世界が動けば、すでに次の兆候が表れているのです。

金融世界の中で長期金利が上がりつつあり、住宅ローン金利も上昇傾向にあります。

それに加えて、木材価格の高騰で、住宅価格に影響が出ます。

住宅ローン金利は、たった0.5%上がるだけで、返済総額は9%ほど増え、消費税に相当するほどの負担となります。

さらに住宅価格が上がることを考えると、間違いなく近い将来には家を求めることも簡単にできなくなる可能性があるのです。

木造住宅の価値

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このような木材需要の時代を見越せば、住宅の価値も変わる可能生があります。

たとえば、見積書を見た時にも、総額の比較だけではなく、どれだけの木材が使われていて、さらに国産材の割合も確認しておくのです。

なによりも、貴重な木材を使っているのですから、大事な目安になります。

各地に残されている古民家も、改修が大変と思われて重荷になっていますが、木材の価値として見直せば、大変な財産に見えてきます。

しかも、長い時聞をかけて乾燥が進み安定した材となっているのでなおさらです。
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さらに木材は、2050年までにCO2ゼ口を目指す上でも大切な役割を果たしています。

CO2を排出しない再生エネルギーを推進する排出削減策に加えて、CO2固定化の新技術と並んで植林による固定化が負の排出削減として期待されているからです。

日本の木材資源は伐採期を迎えて、新しく植林の時期を迎えています。

植林を進めるためにも、木材を有効活用する必要があります。

その活用法の中でも耐久材である住宅は、長くCO2を固定化させるので、脱炭素化へ貢献できるのです。

国産材を使用することは、この点でも重要なポイン卜となっていることは間違いありません。

そんな環境への貢献度も含めて、住宅にどれだけの木材を使っているかを考えることはさらに大切なことです。

環境問題には、森林と木材の価値の高さを抜きにして語ることはできません。

この大切な木材の価値が、新型コロナウィルスのパンデミックとも関連じて高騰しているという動向には目が離せません。

やがて木材危機が来て、手に入らなくなる前に、的確な住宅取得の手筈を進めておきたいものです。

出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

Timber Crisis 木材危機がくる⁉ ~コロナ禍がもたらした意外な影響~②

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みなさん。こんにちは!

前回は、世界的なコロナウイルスの影響によりアメリカや中国では住宅バブルが起こり、アメリカでは大都市ニューヨークから郊外へ流出する人々が急増しているという状況をお伝えしました。

木材先物取引価格

アメリ力や中国をはじめとした国々で、住宅への投資が過熱化してくると、さらにさまざまな影響が広がります。

たとえば住宅をつくるのには欠かせない、木材の価格に着目してみましょう。

国際金融市場関連の情報が集積されている「Investing.com」の中に、世界で流注している木材先物取引価格のデータが公表されています。

直近の1ヶ月間を見ると、比較的安定しているように見えます。
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よほど木材関連の仕事を手がけていない限り、現在の価格が高いのか安いのかは、わからなくて当然です。

ただ、価格の変動をグラフ化して見ると大きな動向はつかめます。

新型コロナウィルスのパンデミックが始まった直近1年間の動向となると、木材先物価格が大きく変動していることが分かります。

そして、2021年に入ってから工材価格が高止まりしていることも明確です。
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木材先物1年先物取引ですから、多くのインベスタが木材価格がこれから高騰するであろうことを予測している結果である
と考えられます。

新型コロナウィルスによって生活様式が変われば、新しい家を求める人も増え、木材需要が高まると見込んでいるかのようです。

さらにこの状況が、どれほど特異的なものであるかを知るには、10年間の先物取引価格を見るのが良いでしよう。
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じつは、この1年の聞に異常と思われるほどの高騰が起きていることが明白になります。

国債市場の中では、木材の奪い合いが起きかねません。まさに、Timber crisis(木材危機)の兆候が見え始めていると考えたくなります。

木材が足りなくなる

それでは世界の木材の事情はどうなっているのでしょうか。

たとえば、アメリカや中国は、とても大きな国土を持つ国です。

両国ともほぼ面積を持ち、日本のおよそ25倍あります。これだけの国土に、森林が育っていれば、木材に困らないと思いたくなりますが、現実は遣います。

たとえば、日本の国土に占める森林率は約70%と高いものですが、じつは両国ともに20%の森林率しかありません。

アメリ力も中国も、じつは砂漠の多い固なのです。

たとえ25倍の広さがあっても、森林量は約7倍ということです。

さらに日本の森林面積のうちの41%である、1000万haが人工林となっています。

もちろん危機感を持っている中国では人工林を推進していて、3000万haを超える面積の国土を人工林にして世界ーとなっています。

でも、中国の人口は日本のおよそ10倍あるので、国民1人あたりの人工林の保有量として考えてみると、日本の3~4分の1ということになります。


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そして木材は、住宅を建てるだけで1はなく、石油と同じようにとても広い範囲で人類は活用しています。

直接燃料として燃やされる木材があれば、溶かされて紙の原料になっている木材もあります。

中国のような人口の多い国の経済活動が進めば進むほど、Timber Crisisの可能性は高まるばかりです。

現実に、中国はアフリカの途上国に支援をする形で森林を切り開いています。

しかも資金的な支援だけではなく、余るほどの人口をベースに入手の派遣も行い、急ピッチで森林資源の確保を進める
行動は、経済的な植民地化と欧米諸国からは警戒されているほどです。

日本では日本書紀が書かれた時代から、そして江戸時代にも盛んに植林が行われ、さらに大戦後の70年をかけて人工林が育ってきました。

アフリ力の森林開発は貴重な自然林を失うことにもつながりかねません。

一度伐採してしまえば、半世紀以上を待たなければ人工林は完成しないのです。



出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

Timber Crisis 木材危機がくる⁉ ~コロナ禍がもたらした意外な影響~①

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みなさん、こんにちは!

これまで私たちが経験したことのなかった世界規模のコロナウイルスによる影響で、多くのことが変わろうとしています。

ウイルス感染を防止するために活動を抑止してしまえば、経済活動もとまり、グローバルに生産体制をもつため、感染拡大が比較的収まっていたとしても他国から影響を受ける可能性もあります。

そんな中、私たち日本の住まいづくりに大きく関わる「Timber Crisis」という木材危機の兆候がでてきたという驚きのニュースが飛び込んできました。

今回はその問題の原因について分析していきます。


パンデミックの世界

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新型コロナウィルスの感染爆発によって、日本でも2度目の緊急事態宣言が発令され、大きく生活感が変わってきました。

しかし反面、少しずつ慣らされてきている部分もあります。

たとえば、当初は中国武漢の都市が封鎖され、国の交流も閉ざされると、武漢の生産部品を待っていた世界各所の工場が停止していました。

しかし、1年もパンデミックが続くと、人の動きは止まったままでも、物流だけは動いていて、工場が止まる話も聞かれなくなりました。

それは住宅も例外ではなく、洗浄便座の部品が供給されないことで、日本の建設現場が止まるという事態もありましたが、今では忙しく建築現場も動いているのが現状です。


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また、パンデミックが始まった当初は暴落した株価も、今では逆に高騰しています。

中国を除く国々の経済成長率がマイナスになり、各国が所得の減った国民に経済的な支援策を講じているにもかかわらず、市場では資金が溢れているといいます。

どうやら、現代社会の中では、パンデミックと経済は、19世紀に起きた大恐慌のような単純な関係ではなさそうです。

現実に、中国やアメリ力などでは、住宅バブルといえるほど、活況を呈しているというこユースも聞こえてきます。

加えて、リモー卜ワークなどで、人と直接会って話をする機会を減らす生活様式が始まると、家に対するニーズも大き
く変わってきています。



さらば、ニューヨーク

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感染者数死者数も世界一被災を受けているアメリ力の中心地、二ューヨークでは人口流出が止まらないといわれています。

大都会の都心に住めば楽しめたはずのエンターテインメン卜やファッション、そして世界中のグルメを供給する店が閉され、家にこもってリモートワークしている状況を改善しようと、人々が動き始めているのです。

高い家賃を払って共同住宅にこもるよりも、郊外の一戸建てを手に入れて、必要な時にニューヨークに出かれば良いこ
とです。

すでに相場より約2割高くなった住宅にも、すぐに買い手がつき、今後も続くといわれています。

逆に、都心部の共同住宅では、家賃を約25%値下げし、さらに入居3ヶ月間の家賃を無料にして借り手を探しま
すが、8割以上が空室のままだといいます。

マンハッタンの空室数は、1年前から比べて2倍になりました。

これによって、1年間で7万人もの人口が減り、この状況が続くと、ニューヨーク市の将来的な財源の問題にもなりかねないと危惧されています。

同様の傾向は、日本でも起きています。
これまでどこの府県よりも一貫して上がり続けていた東京の人口が、パンデミックの年は減少に転じ、転入してくる人よりも、転出する人の方が多くなりました。

新型コロナウィルスによって、求められるようになった各個人の生活様式の変化が、結果的に、都心離れという形で現れ
ているのです。

加えて、驚きのニュースは、さらに続きます。


出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

階段のはなし ~階段設計はマドリの要③~

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みなさんこんにちは!

前回は、階段の設計における段数がどうあるべきか、また階段を配置する位置による人間関係の影響についてお伝えしました。

今回はその「階段のはなし ~階段設計はマドリの要②~」に続き、その③をお送りします。

階段が境界

さらに深く、階段の位置は家族と仲間との関係を考えさせることがあります。

家はそもそも、社会というパブリックの中にある、プライベ一卜な空間です。

その境界は玄関にあって、ひとたび玄関に入れば、そのプライベ卜の中に家族の生活が守られています。

しかし、この家の中でも、家族というパブリックの中に、個人というプライベー卜があります。

リビングやダイニングが家族のパブリックであり、個室が家族のプライベー卜です。

そして、多くの家では社会のパブリックに近い1階にリビングーダイニングを設け、2階に個室をつくります。

そのように考えると、玄関と同じように家の中にある階段が、家族の中のパブリックとプライベートとの境界となります。
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そこで、家族以外の仲間を考えてみます。

仮に外界のパブリックから、プライベー卜な家中に招き入れるのを仲間と呼べば、境界である玄関から内に入れない人は、仲間ではありません。

では、家の中に招き入れた仲間は、家族のパブリック・プライベー卜のどこまで入り込むのでしょうか。

一緒の時聞を過ごす以上、トイレは仲間に使用してもらわないわけにはいきません。

でも、個室にまで招かないのであれば、境界である階段は家族のパブリック空間の奥にあっても良いはずです。

さらに浴室や洗面を使う仲間は、よりプライベー卜に近い仲間です。
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このような家族と、通常は社会にいる仲間との関係を、家の中のゾーンとして区分してくれるのが階段であるということです。

スマホとSNSの普及によってオンライン上のコミュ二ケーションが広まると同時に、じつは実生活でも触れ合う仲間が増えているといわれます。

互いに家に招き合い、仲間との関係を築く時代にふさわしい家づくりを考えるのであれば、我が家流の階段位置を話しあっておくことは大切なことなのです。

階段の意匠

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階段が想像以上に家族や仲間との関係と関わりが深いことを認識した上で、あらためて階段の意匠を考えてみましょう。

階段にさまざまなアイデアを駆使すれば、個性あるデザインを発揮できます。

一般的な階段では、なによりも材質で大きく変わります。

木材の種類はもちろんですが、欧米では力ーペットや石材が使われることも少なくありません。

ただし、決して滑りやすい材を使うことがあっていけません。

掃除がしにくいように感じるかもしれませんが、力ーペットが選ばれる理由のつが安全性です。


同じ安全の見地から手すりも欠かせませんが、ヨー口ッパの古民家の景色では、最下段の1-2段には手すりをつけないデザインを見かけます。

歴史や文化を感じると、少しお酒落に見えてきます。
ただし、通路に出すのは安全の面で不可です。
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また、階段を造作する時には、段板と蹴込板を取り付けるために「ササラ桁」という、斜めの材が使われます。

ササラ桁を壁の中に埋め込まずに、階段のデザインとして造作することも良くあります。

1本のササラ桁に段板を載せたり、段板を挟むように銅製のササラ桁をデザインして造作します。

このようなデザインを考えると、階段そのものが家具のようにも思えてきます。

現実に、日本の古民家では階段状の家具で造作されている階段もよく見かけます。

まさに、階段は駆体に造り込まれたスケルトンではなく、家具のようなインフィルとして考えられてきたように思えます。

そうであれば、もっと自由にデザインを楽んでも良さそうです。
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ただし、階段が危険な場所であることは忘れてはいけません。

十分に安全性に配慮をした上で、自由なデザインを楽しむことです。

その意味では、大工さんだけではなく、注文住宅の醍醐味を味わえるのが階段なのかもしれません。

出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

階段のはなし ~階段設計はマドリの要②~

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みなさん、こんにちは!

前回は階段の設計がお家づくりでも最も重要なポイントになっているという話を建設に関する法律の定めに従ってお伝えしました。

本日はその「階段のはなし ~階段設計はマドリの要①~」に続き、その②をお送りします。

階段の設計

法律で安全な階段の寸法を守るにはコツがあります。

単純に、2階までの階高を蹴上寸法で割った段数がなければ、昇りきることはできません。

また、その段数に踏面寸法を掛けた長さの空間が必要となります。

このことから、階段の質である蹴上や踏面の寸法は階段スペースに因って決まり、勾配が急になって使いにくくなる
ことの多くはスペースが足りないことが要因です。

階段の面積は、それぞれの階の面積に算入しなければならないので、居住スペースを確保するために、階段面積を制約してしまいがちです。


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たとえば窮屈な階段の例として、1坪分のスペースに設置された箱階段では、回り部分を3分割した階段を見かけます。


しかし、品確法では回り部分を6段に分割するのは危険であるとして制限しています。

実際にそのような階段では降りる時に怖いと感じる人も少なくないはずです。

同法では、-60°-30°-30°-60°の4分割としていて、この場合13段の階段となります。


また、直階段の場合にもっとも多いのは1畳半のスペースを利用するものですが、この場合も段数は13段となります。

この段数で設計し、少しゆとりを持たせた勾配にした場合は、2階の階高を抑えておかなければ登りきれなくなっってしまいます。
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階段は転落という家庭内事故の起きうる場所でもありますので、できることであれば、
さらに2段分の階段数を確保して、15段分のスペースを確保して設計しておくのが良いでしょう。

また、できるかぎり3分割とならないようにすることも大切です。

プランを見て、3分割と階段を数えてみるだけで階段の品質がわかるようになります。

階段の位置

多くの住宅を設計していると、マドリの個性は階段の位置で決まっているように感じることがあります。

特に2階の部屋の配置は、ほぼ階段の位置によってパターンが絞られてしまいます。

たとえば、2階の中心部に昇れば、無駄な廊下もなく各部屋に入れますが、2階の端部に階段上部があると、相応の廊下を必要とすることになります。

階段の位置によって、より効率的な居室空間の確保が決まるということです。

このような空間的な効率以上に、階段の位置には大切な要素があります。

それは、家族間の関係や、家族間と仲間との関係をどのように考えるかという深い人間関係との関わりであり、子どもへの教育方針とも関わっているのです。


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玄関ホールにある階段と、リビングから上がる階段では、家族や子どもの生活動線が変わります。

玄関にある階段では、子どもは帰宅して親や家族の顔を見ることもなく自室に入れますが、
リビングからの階段では動線が交差するので顔を合わせる機会が増え、引きこもり対策になるといわれます。

階段は2階に昇るだけの機能ではなく、子どもがどんな人に育って欲しいかという親の願いを込める場所でもあ
るということです。

このため近年になって、玄関ホールに階段をつくることは減ってきました。

一方、家族がくつろぐリビングから見えるところに階段が設置されるので、それなりのデザイン性も求められることになります。


出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

階段のはなし ~階段設計はマドリの要①~

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みなさん、こんにちは!

私たちが暮らす家には、平屋でない限り必ず階段があります。

その階段が、もし急な階段であったらば気に留めるかもしれませんが、
じつは家づくりの中でとても重要なポイントになっています。

今回は、そんな階段づくりの話をお送りします。

階段のはなし

ある日、工事現場で働いている大工さんに、貴重な話を聞きました。

今は、後を継ぐ息子さんに技を伝えながら、一緒に働いています。

「このおうちは、とても楽しみにしている現場なんです。これから造る階段が腕の見せどころで息子と緒にやろうと思って…」

重ねて聞いていると、家の工事にもすっかり工業化やシステム化が進んでいると感じられます。

木材を仕入れて建前までに大工が刻んでいた木組は、今では工場でプレカッ卜されて現場に搬入されます。

面倒なタイル割りを考えて下地を組んでいた浴室も、ユニットで運ばれて据えつけるだけで終わってしまいます。

プレカット材はコンピュータ内の仮想空間で仮に組み上げられ、一休となったユニットバスは水漏れの心配も少なく、間違いなく住宅の品質は向上しています。

そのかわり、大工の技の見せどころは少なくなっているのです。

その他、昔から大工の技量に任されていた部位に床の間があります。

不整形な床柱に、材種の違う落し掛けや長押床桂を組み合わせるなど、複雑な技能を必要とします。

しかし、床の間をつくる家も極めて少なくなりました。

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その中で、大工に残された技量を発揮する部位が階段なのです。

造りこみのできる階段の現場は、親から子に技能を伝承する良い機会になります。

しかし、その階段も、すでに工場であらかじめ加工した部材を組み上げるだけのシステムもできています。

一般的な階段であれば、現場で組み上げるだけで完成します。
腕の立つ大工さんの出番は、また失われつつあるのです。

階段の品質

広く考えれば、段差間の移動を可能にしてくれる階段は、ほぼすべての家にあるといえます。

ごく普通に考えても、こうした段差のある場所は事故の起きる可能性も高いものです。
もし階段に品質があるとすれば、一番に考えなければならないのは安全性です。


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このため施工令で階段の蹴上と踏面の寸法が定められています。

学校や公共施設などの多くの人が使う場所に比べて、住宅の階段は規定が緩く、、

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規定が緩いということは、それだけ急な階段もできるということです。

この最低の基準通りに階段をつくっては、日常的には使いにくくなります。

さらに、住宅の品質確保に関する法律でも、等級による基準があります。最低の基準は、、



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階段の勾配は、22/21以下と定められています。

仮にこの勾配に従い、踏面21cm・蹴上22cmとすれば、条件をクリアします。
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しかし、踏面=底辺よりも、蹴上=高さの方が大きいということは、その勾配は45°以上あるということです。

じつはこの基準も、お奨めできるような階段にはなりません。

品確法の等級4以上で|止勾配の基準は7/6以下となり、踏面が同じ21cmであれば蹴上は24.5㎝以内です。

毎日使うことになる階段は、少なくともこの基準をクリアしておきたいものです。


出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

収納をどうする?~分散収納と集中収納を使いこなす③~

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みなさん、こんにちは!

前回は、日本の収納文化を西欧人から見てどのように考えられていたかをお伝えしました。

今日はその「収納をどうする?~分散収納と集中収納を使いこなす②~」に続きその③をお届けします。

床下と小屋裏

マンションなどの共同住宅では難しいことも、戸建て注文住宅であれば、工夫をして確保できる空間もいろいろと考えられます。もっとも単純なのは床下空間です。

もともと、床下には点検のために潜り込むことができる入口を設けなければいけません。

外部から侵入するのは防犯上も不適格なので、室内に点検口を設置するのが通例です。

多くの家では、キッチンあたりに点検口を設け、普段は床下収納として使われています。

また、階段の下にも簡単な扉をつけて、収納とすることも多くあります。

階段室は1つの空間ですが、1階でも2階でも面積として計算されてしまうので、少しでも利用したいものです。

この時に、階段下の床を外して基礎内部まで利用すれば、さらに収納力のある空間として確保できるようになります。
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床下に続いて、収納として利用したい空間が天井裏です。小屋裏とか屋根裏ともいいます。

たとえば、1階面積の方が2階よりも大きくなる下屋付きの間取りであれば、2階の一部の壁に入り口を設ければ、法律でも記述されている収納ができます。

もちろん、最上階の小屋裏にも、収納式の階段を設ければ、まさに集中収納の空間として確保できます。
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また、吹き抜けを使う手法もあります。1階から2階の天井までの吹き抜けよりも、1.5階分くらいの吹き抜けとして、その半分階を、小屋裏と同じような収納空間として利用するのです。

これらの集中収納は、該当する階の半分以下であれば床面積には計算されないルールになっています。
また、そのためには、天井高を1.4m以下としなければなりません。

同様に、 1.5m以下の天井高であれば、税法上の面積にも算定されません。
さらには、ガレージをビルトインすることにより、定められている容積率よりも大きくすることもできます。

このような空間を上手に設計する手法を駆使すれば、同じ床面積でも2~3割も得する空間を確保できます。

躍保した集中収納を使いこなせば、豊かな生活になると同時に、部屋の中を整理できるかもしれません。

見える収納

分散収納と集中収納と合わせて、さらに収納上手に暮らしてゆくために有効な収納がもうひとつあります。

それは「見える収納」です。見えるといってもショウインドウのように、ガラス越しに飾る収納ではありません。

本来、そのモノがあるべき場所にあることも、収納されていると考えます。
たとえば、壁に絵画が掛けられているとすれば、その壁は絵画の収納場所であるということです。

そのあるべき場所という意味で、「座」という文字を当てはめます。これあぐらは胡座の「座」で、「クラ」と読みます。

世界の屋根といわれる「ヒマラヤ」の語源も、サンスクリッ卜語の「雪の座」という意味です。
ヒマラヤには常に、雪が蓄えられいるので呼ばれた名称です。

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たとえば句の時に、人形飾りを床の間の前に置いて飾るのは、「蔵」から出してきて、この時期だけ「座」に置いているようなものです。

この「座」の考え方が、じつは収納を上手に使いこなす大事なポイントになります。

単純に「座」にあるべきモノがない時は、片づいていないのです。使ったものは、使い終わったら必ず元の場所に戻すことができていれば、このようなことにはなりません。

さらに、「座」にあるモノは、今、生かされている物です。
しかし、見えない奥の収納にしまわれたモノは、いつか忘れ去られてしまう可能性があるモノです。

時折、時節を見て、表にある見える収納の「座」に出してきてしつらえることは、忘れられないモノとして区別していることにもなります。

いつまでも奥の収納に眠っているモノは、処分を待っているモノと考えて良いでしよう。
家にいる時間も増え、こうした収納の使い方を工夫して、少しでも豊かな暮らしぶりを実現していきたいものです。

出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

収納をどうする?~分散収納と集中収納を使いこなす②~

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みなさん、こんにちは!

前回は、各家庭の家の所有物について日本の文化的に見てどのとうな傾向があるかを検討し、改めて収納をどうするか考える、ということをお伝えしました。

今日はその「収納をどうする?~分散収納と集中収納を使いこなす①~」に続き、その②をお送りします。

この部屋は、なんの部屋?

たとえば間取りを考える時に、リビングやダイニング、そして個室の配置を考えます。

でも、家具の配置も書かれていない空の部屋は、なんの部屋なのかわかりません。

じつは部屋の役割を決めているのは、その部屋に置かれているモノで決められているのです。
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たとえば、次のようなモノがある部屋というのは、なんの部屋でしょうか。
答えは、リビングと、身の回りを見ることで想像がつくと思います。

同じように、ダイニングやキッチン、子ども部屋や洗面も、置かれるモノには傾向があります。
こうしたモノの傾向で、各部屋を定義してみると次のように表現できるのではないでしょうか。


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でも、このように書くと、部屋は人ではなくモノが主役のように感じてしまいます。
それだけ生活の中にモノがあふれているということでもあります。
そして、モノがあれば、それだけ各部屋に相応の収納が必要になります。

そもそも日本の家は、それほどモノにあふれる家ではありませんでした。

世界の中でも先進国のひとつに数えられるようになった今でこそ、各部屋に多くの収納がなければ暮せないほどモノが豊かになりましたが、元来の日本の家は、多くの西欧人が文化の違いとして驚く生活をしていました。

もっとも象徴的なのは、西欧の部屋は、家具を置かなければインテリアが完成しないものですが、和室は家具がなくてもデザインが整っている空間として、欧米の人たちの目を引きました。
16世紀に日本に来たポルトガルの宣教師ルイスフロイスが書き残している手記に、次の記述があります。

日本の家の収納

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日本に来た西欧人の目で見て、「われわれ」として語る自国の暮らしと、日本人の生活風景があまりにも違って見えたことが感じられます。
江戸時代が始まる前に書かれたことですが、今でも私達は、和室に寝具を敷きっ放しにはせず、衣替えをするタイミング、を図っています。

さらに衣類だけではなく、日本人には四季折々に節句などの室礼を部屋に飾り楽しむ文化がありました。桃の節句や端午の節句などに、人形飾りを出して設えています。

このような生活を日本人ができたのも、生活空間の他に、納戸や蔵という大きな収納空間があったからです。それは部屋毎に作られる分散収納に対する、集中収納です。

しかし、家に個室がつくられるようになり、家の大きさも小さくなると、集中収納を確保することが難しくなります。どうにか工夫をして、収納空間を確保できればと思います。


出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

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