樹木はどのようにして、鉄やコンクリートよりも優秀な素材を生み出しているのでしょうか?
鉄やコンクリートのように、大きなエネルギーを使わずに難なくこなしています。それを理解するには、木の成分であるセルロースやリグニンなどの有機化合物の、分子の役割を見ればわかります。分析すると炭素と酸素・水素でできています。
樹木などの植物は、根から水を吸い上げ、空気中の二酸化炭素と合わせて光合成をすることで生長していることは知られています。この時のH₂O(水)と CO₂(二酸化炭素)の中に、木本体を作る全ての材料が含まれています。
光合成が行われるのは葉緑素のある葉の部分ですから、この葉が樹木にとっての口であり消化器官であり、木材の生産工場でもあるのです。
冬になると太陽の光も弱まり、あるいは葉が落ちて光合成の力も弱まります
。そのため、木材の生産量も減って生長も緩やかになります。逆に水が豊富で太陽の光も強い初夏には生長は盛んになります。この緩急が、年輪として刻まれることになります。
そして、この強弱が組み合わされることによって、単一の材よりもさらに強度が増します。枯れて落ち葉になることも、植物にとっては大事な生長戦略なのです。