住宅のインフィルである仕上げ材や設備機器などは、年数を経るごとに損傷や故障が増え価値が低下します。だからこそ、メンテナンスに加えて、時には入れ替えも必要です。
しかし、スケルトンに使われている木材は、基本的には100年以上の耐久性があると考えられています。現実に、木造でも一千年を超えて残されている建築物があります。
それ以上に、木材をしっかりと長く使うことは、地球環境にも貢献できることです。
住宅のスケルトンとして使用できるまで樹木が生長するのには、通常40年~60年はかかります。よく知られている通り、樹木は光合成によって空気中のCO₂を集めて生長しています。その生長期間よりも短く使い捨ててしまうことになれば、環境破壊となりかねません。
さらに、生長した樹木をすべて使い切っているわけではありません。丸太の中から端材を切り落として、四角い木材として使用しています。こうして刻んで燃やしてしまっている分を計算に入れると、少なくとも100年は使用する必要があります。木材というのは、それほど貴重な地球の資源なのです。
それに加えて、木材の供給には原生林などの違法伐採の問題も抱えています。地球環境の保全などを考えれば、これまで以上に、木材は資源として貴重なものとなる可能性は高いといえます。
木材が不足して高価なものとなれば、さらに木造住宅を新築することは難しくなるかもしれません。その時には、住宅のスケルトンは、まさに資産としての価値そのものとして考えられるようになるのではないでしょうか。
最初は単なる建築費の内訳書でしかありませんでしたが、スケルトンである木材の価値に着目すると、大きなテーマが隠されていることに気づかされます。家のスケルトンである材木の価値を知り、大切にしてゆくことは、結果的に自身の資産を守ることにもつながっているのです。
出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」