一方で、この1年の間に、逆にコロナ禍によって業績を上げている分野もあります。たとえば、暴落したはずの株価は回復し、それどころか高値を記録して、バブルの声も聞かれるほどです。投資家は決して窮する状況にはありません。
また、家にこもることによって、冷蔵庫や洗濯機などのいわゆる白物家電が多く売れ、DIYのニーズが増えてホームセンターが賑わっています。そしてリモートワークなどで通勤から解放されることで、人の多い都会を離れて自然に囲まれた環境を求める人も増えています。
単純に経済が破綻すれば、諸費活動が落ちてすべての産業が同じ景気の低迷に巻き込まれるのですが、どうやら今の社会は、それほど簡単ではないようです。収入がなくなり家を追われる人もいれば、これを機に郊外に家を求める人もいるのです。
たとえば、1920年代の大恐慌では、アメリカの住宅着工は10分の1以下まで低迷しました。でも、このコロナ禍の中、アメリカの住宅市場はじつは活況となっています。自粛ムードと経済は、ある意味では全く別のもののようです。
このようなパンデミックの時期に、日本の住宅市場はどれだけの影響を受けているのでしょうか。
もちろん、展示場等も自粛となって、これまでの活動ができなかった時期もあります。この中で、住宅市場の担い手である工務店が苦しんでいるとか、意外と影響を受けていないとかの話ではなく、マクロな住宅動向を見ることによって、一般的な消費者の活動状況がどうだったのでしょうか。
毎年1月末日には、前年1年分の住宅市場の分析結果が国土交通省より発表されます。このデータをみれば、世界的なパンデミック下にあった2020年の、日本の住宅市場動向を鳥瞰できます。