横ばいや増加傾向にあった持家市場や分譲市場が、一転して減少に転じているのは確実にコロナの影響と考えられます。
意外なのは、ニュースで報じられたマンション販売戸数とは別で、マンションは8.4%の減少に収まり戸建分譲が11.4%の減少で最大でした。販売数は減少していても、次の販売に備えて着工している数は、それほど止まっていないのです。
それに対して、激しい減少が続いていた貸家市場の減少は少なかったと考えてもいいのかもしれません。
コロナによる持続化給付金に続いて家賃支援給付金が実施され、収入が減少した人に家賃負担が大きくのしかかったのもニュースになりました。しかし、逆に考えれば、家賃収入を得られるオーナーは、コロナという世紀の災禍にも強いということです。それが貸家市場への影響を抑えたと考えられます。
これらの下落幅を眺めていると、持家市場や分譲市場には、2014年にはもっと大きな影響があったことが見てとれます。しかも、貸家事業には影響がありません。
この2014年の出来事は、消費税が5%から8%にアップしたことによる影響です。持家や分譲住宅は、たった1日の差で50万円程度以上の税負担が増えます。消費意欲が落ちるのも無理はありません。一部かけ込み需要もありましたが、消費税アップの影響は、その前のリーマンショックよりも大きいものでした。
一方貸家は、たとえ多少の税負担が増えても、それは家賃で回収することができます。そのため、消費税アップの影響を受けにくいのです。
2020年のコロナの影響度合いを、この消費税アップの影響に比べると3分の1ほどの影響ということになります。決してコロナによって、住宅取得への夢が大きく削がれたわけではないということです。実際はコロナによって収入が下がった人は、およそ3割にとどまっています。