しかし、最も注意しておかなければならないことは、さらにその先の未来があることです。つまり、育ちすぎて手に負えなくなってしまうのです。特に近年では、庭木によく使われる水木で、そのような傾向があります。
水木とは建材などに使われる堅木とは違い、木材としての加工に適さない樹木のことです。水の多いところで育ちます。カツラやハナミズキ、ヤマボウシ、トネリコなどがその代表です。
日本の古くからの水木は、夏季には暑さで休眠して生長を止めますが、南方原産の樹種で、日本で越冬した株から分けられた植木は夏にも休眠しないで生長します。地植えでは値の張り方にも限りがないので、好きなだけ伸びてしまいます。しかも人の手によって、水だけはしっかり与えられます。病害に強いことで選ばれるトネリコなどで、大きくなりすぎて困る事例がよく聞かされます。
こうした庭木では、中高木でも地植えではなく鉢植えで庭木とすることも考えられます。それによって生長が抑制されるのです。いよいよ庭木もインテリア感覚でコーディネートすることができるようになります。エクステリアでの鉢植え植栽は、良い状態の管理が求められるホテルなどで、よく利用されています。
こうして植栽の文化を知り、生長するのを楽しみ、その上四季の移ろいも計画された庭ができれば、あとは愛情を注ぐだけです。手を入れるほどに、庭木は美しさで返してくれます。