窓枠から見える風景~庭木選びのたのしみ~②

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みなさん、こんにちは!

前回は、庭木を選ぶのに、最初に知っておきたいのは、植栽の分類。というお話をしました。

今日はその「窓枠から見える風景~庭木選びのたのしみ~①」に続き、その②をお送りします。

五木と風水

代表的なのは、江戸五木です。江戸時代の江戸で重視されていた庭木は、モッコク・アカマツ・イトヒバ・カヤ・イヌマキでした。それがたとえば瀬戸内気候の播州五木では、マツ・モッコク・アラカシ・ヒイラギ・ナンテンと変わります。それぞれに願いが込められていて、マツは長寿、モッコクは繁栄、カシは達成、そして魔除け、厄除けの意味があります。

江戸と播州で共通しているのはモッコクで、庭木の王ともいわれます。
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モッコクは、耐暑性には優れていますが、やや耐寒性に弱く、関東南部以西で九州沖縄まで植栽できます。暗緑色で厚い葉と枝が密に茂るので、ボリューム感があります。横に広がって育つので繁栄を意味し、狭い場所には不向きと言われますが、刈り込みにも耐えるので、幅広い活用法がある樹木です。
このように五木として選ばれる庭木には、まるで花言葉のような様々な意味合いがあります。単純な庭としてのデザインだけだはなく、こうした意味を込めることが庭木を選ぶことでもあるのです。代表的な縁起木を表にしてみました。

アジサイ:家族和合の象徴
エンジュ:敬老や長寿の祝いの記念樹
オリーブ:平和と友愛の象徴、家内安全
クロガネモチ:立身出世の縁起樹
コデマリ:子どもの健康祈願
ナンテン:「難を転じる木」から、安全祈願
サツキ:長寿と健康の喜びを象徴
コブシ:幸せをつかむ、幸運を握る
ツバキ:寒中にも濃緑な葉を茂らす不屈の生命力
サルスベリ:幸せが長く続く
ハナミズキ:女の子の成長を祈願
ヒイラギ:魔除け、鬼除け、幸福の象徴
キンカン:輝かしい栄誉をたたえ、大願成就の象徴
庭木にこのような意味を込めることは、庭木選びが文化として根付いていることの証拠です。その願いは、風水にも通じています。現代では風水といえばインテリアだと思っている人も多いのですが、古くは庭づくりで風水が考えられていました。

日本でも最も古い造園の書物『作庭記』には、石の立て方や水流のあり方などが書かれています。その基本は風水で、東西南北の四神である青龍・白虎・朱雀・玄武を奉ることにあります。その『作庭記』には「四方に木を植え四神具足の地となす」とあります。

たとえば東には青龍に代えてヤナギ9本。西には白虎に代えてヒサギを7本。南に朱雀を代えてカツラを9本。北に玄武に代えてヒノキを3本植えると、無病長寿の屋敷になるとあります。

ただし、その他は心に任せるままに植えても良いとしています。また、古人のいい伝えとして、東には花の木を植え、西にはモミジ、門の脇にはエンジュを植えるとあります。

ちょうど似たような時代に書かれた、兼好法師の『徒然草』第139段でも、「庭に植えたい木」として、庭木のことが書かれています。
兼好法師 徒然草 第百三十九段「庭にありたき木」
樹木・・・松・桜・梅・柳・楓・橘・桂
草・・・・山吹・藤・杜若・撫子・蓮・荻
     薄・桔梗・萩・女郎花・藤袴
     紫苑・吾木香・刈萱・竜胆・菊
     蔦・葛・朝顔

これらに取り上げられた植栽の名前を、少しずつ覚えることから、庭木選びが始まります。

未来の姿を想像する

その上で、庭木は家族と一緒に育つ大事な仲間にもなってくれます。その代表が記念樹です。

庭木選びでは、木々が長生きすることを忘れてはいけません。最初に植えた時にベストになるのではなく、時を経て庭は完成します。その未来の姿を想像しておくことです。

小さな苗木を植えても、生長して大きくなれば、環境としての資産価値は増大します。
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しかし、最も注意しておかなければならないことは、さらにその先の未来があることです。つまり、育ちすぎて手に負えなくなってしまうのです。特に近年では、庭木によく使われる水木で、そのような傾向があります。

水木とは建材などに使われる堅木とは違い、木材としての加工に適さない樹木のことです。水の多いところで育ちます。カツラやハナミズキ、ヤマボウシ、トネリコなどがその代表です。

日本の古くからの水木は、夏季には暑さで休眠して生長を止めますが、南方原産の樹種で、日本で越冬した株から分けられた植木は夏にも休眠しないで生長します。地植えでは値の張り方にも限りがないので、好きなだけ伸びてしまいます。しかも人の手によって、水だけはしっかり与えられます。病害に強いことで選ばれるトネリコなどで、大きくなりすぎて困る事例がよく聞かされます。

こうした庭木では、中高木でも地植えではなく鉢植えで庭木とすることも考えられます。それによって生長が抑制されるのです。いよいよ庭木もインテリア感覚でコーディネートすることができるようになります。エクステリアでの鉢植え植栽は、良い状態の管理が求められるホテルなどで、よく利用されています。

こうして植栽の文化を知り、生長するのを楽しみ、その上四季の移ろいも計画された庭ができれば、あとは愛情を注ぐだけです。手を入れるほどに、庭木は美しさで返してくれます。
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もちろん、広い庭でなくても楽しみはあります。集中的に手を入れたい場所は、2つあります。

ひとつは、玄関までのアプローチ。シンボルツリーと低木の組み合わせで、家の格が上がります。そしてもうひとつは、居室からの窓を額縁に見立てて、風景をつくる庭です。近景と遠景を組み合わせれば、尽きない楽しみになるはずです。


出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

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