住宅を建てて維持管理することは、比較的専門性の高いことです。その意味では、建築会社は地域社会には無くてはならない存在です。小学校や郵便局、お医者さんと同じように、社会インフラとしてなければ、地域の存続も危ぶまれます。ですから住宅を手掛ける会社は、地域に必ずあるはずです。
実はアメリカでは政府によって、国家規模の住宅会社を運営するプロジェクト『オペレーション・ブレークスルー』を展開したことがあります。それを仕掛けたのは、自動車産業でした。工業化による生産技術を住宅にも応用して、住宅の生産性向上を図ったのです。
ところが数年後に、結果的には政府が国民に謝罪をしてプロジェクトは終了しました。住宅は、ドメスティック(地域的)なものであり、国家的な規模を必要としていなかったのです。最初のポイントに、地域に根ざしていることがあげられているのは、こうした失敗の経験もあったからなのでしょう。
また、利潤追求の厳しい大企業は、利益の上がらない地域を切り捨てかねません。郵政が民営化された時も、全ての郵便事業を継続させることが条件でした。地域に根ざした会社がなければ、住宅は支えられないのです。
逆に、地域に根ざして活動する以上、悪い評判は会社の存続に関わります。少なくとも限られた地域の中で、会社活動を続けているからには、相応の信頼を獲得しているはずです。
自分と同じ地域に住み、評判を大切にして活動していることに勝る安心感はありません。例え全国規模の大企業であっても、遠い本社に話をしなければならない事態になればとても安心できるものではありません。