ほんとうに家族が集まる場所としてリビングをつくるのであれば、ユ力座の暮しの方が日本人には向いているでしょう。しかし、自分のこだわりの椅子を置くと空間がまったく変わってしまいます。たとえばそれを象徴するのは、ロッキングチェアです。その椅子によって自分の世界がっくりだされます。
特に1人掛けのシングルチェアなどには、名作と呼ばれる椅子がたくさんあります。バルセロナチェア、シエーズロング、工ッグチェア、ベアチェア、イームズラウンジチェアなど、これらの椅子は座ると不思議に独特の個人の空間をつくりだしてくれます。もちろん名品だからこそ、くつろぎの格も違います。
良い椅子は時代を超えたデザインであり、古びれてくるほどに風格が増します。急いで手に入れなくても、いつか手に入れて自分の家に置くのも良いでしょう。
リビングにはソファではなく、こうした椅子を置くことを一度イメージしてみてください。それが本当のイス座の心地よさを教えてくれることになります。それは新しいリビングの過ごし方を発見したことにもなるはずです。
出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」