トイレや浴室に比べると、洗面の機能は限られています。シャンプーができる洗面も、すでに特殊なことではありません。
広く普及している洗面は、浴室の隣にあり、脱衣室と洗濯室を兼ねていることが多いようです。洗面台の隣に洗濯機があり、誰かが入浴してる時には洗面が使えません。また、グルーミングとして洗面を使うことを考えると、隣に洗濯物などが重なっているのは、少し興ざめします。
たとえば、脱衣や洗濯室とは分けて、グルーミング用の洗面を設けることで、ちょっと水周りの設計も変わってきます。
空間を分けた脱衣や洗濯室には、しっかりと収納を確保して、家族の下着類を保管すると、入浴時の動線も機能的になります。
さらにコロナ禍を経て、洗面は玄関近くに移動しようとしています。手洗い・うがいが日常化しようとしている今、家の奥に洗面があっては菌を持ち込むことになりかねません。
すでに国も動き始めている新しい住宅の工コポイン卜制度でも、玄関付近に設ける洗面があることが条件のひとつにあげられています。外から帰ってきた子どもたちも、すぐに手洗い・うがいをする習慣が身につくことでしょう。
家の中の水周りは、進化が早い分、現在の家がどんどん陳腐化してゆきます。十数年もすれば、洗面の位置で古い家かどうかを確認できるようになるのかもしれません。
また居室以上に動線や家族問の利用方法など、ライフスタイルを反映している場所でもあります。最新の家のマドリを見るときにも、水周りの収まりに注目しておきたいものです。
いつかはリフォームや家を新築する時のために、水周りの文化を知り、自分流の使い方を観察しておくこともお勧めいたします。
出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」