上下階の窓の高さを揃えることと同じ様に、同じ階の窓の高さを揃えることも大事なことです。一般的な窓の高さは、内部ドアの高さに合わせて2ⅿにします。昔であれば1.8ⅿが普通でしたが、すっかり2ⅿが定着しています。
さらにリビングには、少しでも日当たりと通風を確保しようと、もっと高い2.2ⅿの窓を配置することがあります。この2.2ⅿの高さは、平均的な身長の方が手を伸ばせば届く高さです。ガラス拭きなどの掃除をする時に、踏み台を使わなくても届く高さなので汎用性の高い寸法です。
逆に、浴室は天井の高さも低く、またユニットバスの制約を受ける場合もあって窓が低くなりがちです。どうしても浴室の窓が下がる時には、隣にあることが多い脱衣洗面室やトイレの窓の高さも揃えます。
多くの家ではこうした水回りは北側に配置されることが多いのですが、窓の高さを揃えて一体化すると、実際に水周りがあるようには見えなくなります。
ところで、2.2ⅿの高さの窓も、室内側から見た時には天井高さよりも低いので下がり壁ができます。デザイン系の建築家の多くが、この下がり壁を嫌い床から天井までの窓を使うケースを見かけます。一つのデザインパターンと言えます。
ただ、特殊な高さの窓を使うとコストも上がるので、サッシを組み合わせて同様のデザインを実現している例が欧米などにはよくあります。
また、2.4ⅿまでの窓であれば一般的なサッシから選ぶこともできます。この高さに合わせて天井高を決めれば、同様のデザインも容易に実現できます。平面的な検討の中で窓があれば良いのではなく、空間のデザインを構成する最も大事なエレメントとして窓をデザインしておくことです。
この時に、室内だけではなく外観でも窓の天端に軒先を合わせると、外観でも下がり壁がなくなります。例えば2階バルコニーがあれば、その下端を窓の高さに揃えると、室内の天井からバルコニーの軒天までがフラットになり、その間にサッシがぴったりはまっているデザインができます。
「窓のデザイン学~家のデザインは窓で決まる~③」へ続く…