家づくり小噺

窓のデザイン学~家のデザインは窓で決まる~①

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みなさん、こんにちは!

家は、外と内が仕切られてはじめて成り立ちます。どんなに外が暑くても、あるいは寒くても、家の中では快適な環境が保たれています。その外と内を仕切るのは、壁・屋根・床であり、壁には窓がつけられて外皮が完成します。じつはこの窓のつけ方が、家の外観デザインに大きく影響します。窓とデザインの関係を考えてみましょう。

窓が笑っている

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以前、北米出身の人に聞いた話で、心に残っていることがあります。家を見て、『窓が笑っている』といい家だと言うのです。良い馬を見極めるには、『歯を見ればわかる』と言われている話に似て、興味深い話でした。

窓辺には植物が育てられ、ウィンドウトリートメントなどが飾られていれば、幸せそうな家族が住んでいることが想像されます。特に欧米でよく使われている、シェードカーテンでも掛けられていれば、その曲線が、まさに笑顔のようにも見えてきます。

欧米では、住んでいる人の手で、改修工事が行われることも少なくはありません。内装はもちろん、外壁でも塗り替えや簡単な補修など、自分で修繕してしまいます。家の手入れをすることは、資産価値を高めるためにも欠かせないことだと信じられています。

でも、さすがに窓を付け替えることは簡単ではありません。窓枠に手を加えれば、建物躯体や水仕舞いまで影響が及びます。それだけに、他はどんなに傷んでいても、窓だけをしっかり見ておけば、より資産価値を高める可能性が高くなります。ですから既存住宅を見る時にも、窓を見るのが、良い家を選ぶ最大のコツなのです。

窓が決めている

その上、窓は快適さにも大きく影響しています。日当たりが良くて風通しが良い家は、窓が決め手です。窓のつけ方次第で、家の過ごしやすさは大きく変わるということです。

そして、じつは外観デザインにも、窓が大きく影響しています。木を組んで建てられている日本の伝統住宅は、大きな開口部が特徴です。広縁があれば、なおさら日本住宅となります。

一方、石積みの壁で建てられている西欧の住宅では、小さな窓しかありません。作り方の違いは、窓の違いにもなります。実は中国も土壁が基本で、西洋と同じ小窓です。窓の形状には、その国々の特徴が現れます。
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この窓の形状に、軒の出を組み合わせた簡単なスケッチを描いてみるだけで、家のデザインの大きな方向性が見えてきます。

雨が多い国である日本では軒の出は長く、西欧では軒の出は短くなります。

軒の出が長く大きな窓があると日本的なデザインに見え、軒の出が小さく小窓が並ぶと西欧的なデザインに見えます。


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さらに、軒の出を長くして小窓を並べると、オリエンタルなデザインの印象を受けます。そして、軒の出を短くして大きな開口部を設置すると、現代的なモダンデザインの印象が濃くなります。窓の形状と軒の出の深さだけで、住宅のデザインの傾向が表現できるのです。

もちろん窓は、外観だけの条件で位置や大きさを決められるものではありません。それぞれ検討している間取りの中で、部屋に必要とされている日当たりや風通しを求めて窓を設置しようとしています。この内と外の両者のバランスを取りながら、窓のデザインを検討してゆかなければなりません。

「窓のデザイン学~家のデザインは窓で決まる~②」へ続く…
出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

木のものがたり~木の生存戦略から見た真の価値~③

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みなさんこんにちは!

前回は、「化学構造の物質や環境問題」についてお話をしました。

今日はその「木のものがたり~木の生存戦略から見た真の価値~②」に続き、その③をお送りします。

木の成長

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樹木はどのようにして、鉄やコンクリートよりも優秀な素材を生み出しているのでしょうか?

鉄やコンクリートのように、大きなエネルギーを使わずに難なくこなしています。それを理解するには、木の成分であるセルロースやリグニンなどの有機化合物の、分子の役割を見ればわかります。分析すると炭素と酸素・水素でできています。

樹木などの植物は、根から水を吸い上げ、空気中の二酸化炭素と合わせて光合成をすることで生長していることは知られています。この時のH₂O(水)と CO₂(二酸化炭素)の中に、木本体を作る全ての材料が含まれています。

光合成が行われるのは葉緑素のある葉の部分ですから、この葉が樹木にとっての口であり消化器官であり、木材の生産工場でもあるのです。

冬になると太陽の光も弱まり、あるいは葉が落ちて光合成の力も弱まります 。そのため、木材の生産量も減って生長も緩やかになります。逆に水が豊富で太陽の光も強い初夏には生長は盛んになります。この緩急が、年輪として刻まれることになります。

そして、この強弱が組み合わされることによって、単一の材よりもさらに強度が増します。枯れて落ち葉になることも、植物にとっては大事な生長戦略なのです。

大事な木材

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ところで、CO₂濃度が上がることで地球温暖化が進むと言われていますが、CO₂は空気の中にどれだけ含まれているのでしょうか。CO₂は空気中では0.04%と意外に少なく、窒素78%、酸素21%がほとんどを占め、残る1%もほぼアルゴンです。

この希少なCO₂を懸命に集めて、樹木が年輪を刻んでいると思うと、少し健気に感じてきます。世界中の、そして日本中の森の中で、年に1本ずつ年輪が増えているのです。

じつは、日本全体でどれだけの木材蓄積量が増えているかが計算されています。その量は1年でおよそ1億㎥弱あります。伐採されているのは、約2千万㎥ですから、毎年8千万㎥の木材が国内に増えていることになります。

その生長量とほぼ同じ1億㎥強の木材が、世界全体の中で輸出入されて流通しています。さらに、全世界での産業用丸太の消費量は15億㎥ほどです。

日本は世界でも有数の森林国ですが、これらの数値を見てもいかに木材に恵まれた国であるかが分かります。

この大事な木材の最も基本的な活用法は、住宅をおいて他にありません。同じ地球上で生きている木材という資源を、大切に使っていることを意識しながら、家を建て、家に暮らせればと思います。


出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

木のものがたり~木の生存戦略から見た真の価値~②

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みなさんこんにちは!

前回は、「木という生物」についてお話をしました。

今日はその「木のものがたり~木の生存戦略から見た真の価値~①」に続き、その②をお送りします。

木材の底力

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実はこのリグニンに似た化学構造の物質があります。それはダイオキシンで、塩化ビニルなどの塩素を含む物質が不完全燃焼すると発生する物質です。猛毒のため廃棄もできず、分解するのも簡単ではありません。極めて似た物質であっても、人間が作り出すと有害となり、自然界が生み出すと有益な木材となるということです。

この猛毒のダイオキシンを分解するのに、逆に木材のリグニンを分解するバクテリアなどの菌の力を活用する研究が進められています。

また、木材の成分の半分を占めるセルロースについても、驚くような最新技術があります。木材のセルロースを使って、セルロースナノファイバーという新素材が生まれています。

セルロースナノファイバーは、強度は鉄の5倍で重さは逆に鉄の5分の1しかありません。まさに鉄よりも強いという表現が似合いますが、それが木材から生まれた素材なのです。

たとえば、地震での建物の強度を計算するためには、強さと重さが大事な要素です。重たければ重たいほど、慣性の法則が働いて地震力は大きくなり、その地震力に耐えられるだけの強度があるかを計算しているからです。

もちろん建物だけではなく、自動車や電化製品などでも軽くて強い素材は、幅広い分野での使用が期待されます。木材の底力を知れば、もしかしたら、鉄の時代から木材の時代になるのかもしれません。

環境問題への貢献

その上、地球環境として問題になっているプラスチックなどの石油製品とは違い、既に地球上にはたくさんある木材から生まれたものですから、この点も安心できます。

それだけではなく、生産される工程でも鉄やコンクリートには大きな環境負荷がかかっています。身近なものとして、手に触れ目で見て慣れてしまっていますが、大きなエネルギーを消費しなければ、鉄やコンクリートは利用できません。

どちらも鉄鉱石や石灰石が原料であり、山奥や地中深くから採掘してくることからエネルギーを使います。

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その鉄鉱石は1000度以上に熱して鉄を溶解し、さらに精製を行って純度を高め、用途に合わせて形状を加工します。さらに強度を調節するために、焼き直しを行います。想像しただけでも、相当なエネルギーを投下していることがわかります。

コンクリートもセメントを混ぜるだけのように思われますが、セメントとして流通する前に、石灰石は焼成処理されています。つまり、ここでも大きなエネルギーを消費しているのです。
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さらに、どちらも火力だけではなく水も必要としています。水を使用すれば当然のように汚染水という環境問題も発生することになります。

逆に、木材を使用した後には、植林することで新しい環境を生み出すことにもつながっています。山を切り崩し、岩を砕くこととは正反対です。しかも、更新された森は空気中の二酸化炭素を吸収してくれます。総合的な環境問題を考えれば、できる限り鉄やコンクリートを節約し、木を有効活用することです。

「木のものがたり~木の生存戦略から見た真の価値~③」へ続く…
出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

木のものがたり~木の生存戦略から見た真の価値~①

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みなさん、こんにちは!

地球上にいる人間を含めたすべての生物は、さまざまな環境の中で生き残るために、固有の戦略を駆使してきました。その中でも、樹木のとっている生存戦略を知ると、じつは木材のほんとうの価値を知ることができます。自然が生み出した驚異の素材を再認識することで、木造住宅の隠れた力を実感していただければと思います。

木という生物

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森の中を散策していると、切り株の痕を見つけて写真に撮りました。見れば切り口がきれいなので、人の手によって伐られたことは間違いありません。 しばらく時間も経ったのでしょう、森の中に生息している菌糸類や細菌などが飛来して、その切り口に繁殖をし始めています。

木が腐るのは腐食菌やバクテリアなどの分解力に因るものです。コロナウイルスによるパンデミックを経験すると、人類にとっても、細菌は最大の敵であることがわかります。

ここで、生物界の絶対的な王者として頂点に君臨している人類を殺している動物とは何かという、WHOの関連レポートを見ると、興味が湧きます。

その3位は毒蛇で、年間約5万人が亡くなっています。2位ははおよそ10倍に当たる48万人を殺しているのが、じつは同じ人間です。そしてさらに約1.5倍の年間73万人の犠牲者を出している1位の動物は蚊です。ただし蚊といいながら、現実は蚊に媒介されたマラリア菌などの感染で命を落としているのです。

菌による感染症が大敵であるこは樹木も同様で、細菌類に好き勝手に繁殖されては長生きを続けることはできません。その上、樹木は人間のように知性による分析研究を武器にして菌と戦うわけでもなく、さらに人間よりもずっと長く生存するのですから、より多くのリスクにさらされることになります。

そこで、もう一度、もう少し注意深く切り株の写真を見るとちょっと状況が違うことに気がつくかと思います。そうです、緑色に菌が繁殖しているのは切り株の周辺部であり、中心部の年輪が赤くなった部分では繁殖が抑えられていることがわかります。木もしっかりと、抗菌対策をしているのです。


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その仕組みは、木を構成する3つの主成分である、セルロース、ヘミセルロース、リグニンにあります。もちろんこれらは、樹木が生長の過程で生み出した有機化合物です。

セルロースは、食物繊維として聞くこともあります。ヘミセルロースと合わせて、この繊維質が筋金となり、それをリグニンで固めることにより、木の本体ができていきます。ですから、樹木から紙をつくる時には、リグニンを除去してセルロースだけにしてすくことでつくられています。

固めているリグニンは、芳香性高分子化合物で、木の匂いの素にもなっていますが、とても分解しにくい構造になっています。そして植物の細胞壁の中でも、リグニンが最後に蓄積されてゆくので、切り株の中心部のように、古い場所に多く存在するようになります。

そうです、木の中心部の赤身部分の正体は多くのリグニンであり、このリグニンが抗菌作用を発揮しているのです。切り株の写真は、このリグニンの分布状況を的確に見せてくれていたのです。

死んで生きる

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樹木は運が良ければ数千年を生き、中には10階を超えるほどにも生長します。

動物が動き回るためには、大変なエネルギー量を必要としますが、たとえ動かないとはいえ、高々と水を汲み上げ生長し続けるエネルギー量は大変なものだと想像されます。じつはここでも、木の中心部の赤身と外周部の白太の役割は分かれています。

単純にいえば、白太のさらに外周部である樹皮近くで生きて活動しているのであって、中心部の赤身の部分はすでに生体活動を行っていません。つまり、木は中心部が死ぬことにより、無駄なエネルギーを負担しなくて良いようにしているのです。

しかし多くの生物は生体活動が止まると腐食が始まるものです。腐食すれば、当然のことながら、支えて立っていることもできません。

そのために、リグニンを生成し蓄えることで赤身となり、同時に腐食しにくい性質を持つことで生長してゆく戦略をとっているのです。つまり、部分的に死ぬことが、生きるための戦略であるということです。

しかし自然界はバランスをとり、セルロースを破断する虫類や、リグニンを分解するバクテリアもいて、これらが繁殖する環境が整えば腐食して分解することになります。細かく砕かない、菌が繁殖するような湿気と酸素がなければ、木材は腐らないということです。


「木のものがたり~木の生存戦略から見た真の価値~②」へ続く…
出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

おうちのウイルス対策~免疫力を高める家~①

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みなさん、こんにちは!

中国武漢から始まった新型肺炎コロナウイルスが世界中に拡がり大きな社会問題になっています。人類がいまだに経験していないウイルスとの闘いには、医薬の世界が躍起になるのはもちろんのこと、生活者として対策できることもあるはずです。この機会に、家でできるウイルス対策とはなんなのか考えてみましょう。

ウイルスと感染症

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COVID-19と名づけられた新型肺炎感染症の広まりは、多くの人に、これまでにないウィルス感染への不安をもたらしています。

まずは、この敵となっているウィルス(SARS-CoV-2)の姿や大きさは、どのようなものなのでしょうか。

ウィルスの大きさは0.1μm[マイクロメーター](1000分の1mm)で、いかにウィルスが小さいものかが分かります。ウィルスは核酸だけを含むカプセルようなもので、単独では増殖をすることもできず、人の細胞に侵入して増殖するものです。

人の細胞内に寄生し、細胞膜をもっていないので、直接作用する治療薬の開発も難しく、免疫機能の活性化を利用する薬が多くなります。人のCOVID-19は軽症が多いという報告のわりに、感染力があって重症者への治療法もわからないので、どうしても不安が大きくなります。

こうした病気を引き起こす微生物には、ウィルスの他に細菌と真菌があります。大きさがウィルスの10倍、1μmほどあるのが細菌です。細菌には細胞膜があり、環境が整えば細胞分裂で自己増殖します。細胞内に入り込んで寄生しなければ、増殖できないウィルスとは大きな違いです。

さらに、それよりも少し大きい真菌は力ビの一種で、定着すると菌糸を伸ばし枝分かれしながら成長してゆきます。人体に有害な真菌もあり、その一種の白癖は、俗にいう水虫です。真菌に対しては、細胞膜の合成を阻害するか、破i要する抗真菌薬が使われます。

大きさは細菌や真菌の種類によって違いもありますが、大気汚染で話題にもなっている、25μm以下の微小粒子状物質(PM25)と似たような大きさです。小さくて空気中にも長時間漂うので、遠くまで移動することもあります。細菌による病には、増殖を抑える他、細胞に直接作用する抗菌薬や抗生物質が有効です。

細菌や真菌は、害を与えるものばかりではありません。乳酸菌や納豆菌をはじめとして、人の体の中に共生して消化を助け、体調を整えてくれる腸内細菌もあります。同様に真菌にも、お酒や味噌醤油をつくる麹菌や納豆菌があります。要は人に有害か有益かで腐食と発酵の違いとなっています。
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さらに、アレルギーのある花粉や、髪の毛の太さなど大きさを比較すると図のようになります。この中にさらに、一般的なマスクの隙聞を表現するとおよそ5μmです。

もちろん花粉に有効であることは一目瞭然ですが、COVID-19で問題にされている飛沫にも有用といえます。しかし、飛沫と同時に発生する飛沫核はマスクの隙聞を抜けてしまいます。それは飛沫核を出す側も受け取る側も同様です。

そのためにはPM2.5こ対応したマスクが必要です。そうでなくても不足しているマスクに、この条件はより厳しくなるばかりです。とにかく、密閉された空間で長い時聞を過ごすことがある場合には、換気をしっかり行うことが第1です。

風通しの良い家

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人がつけるマスクと同じように、住宅の換気システムにも、PM2.5用のフィルタがあります。とはいっても、感染するほどのウィルスが外から家の中に入り込むとは思えません。それよりも換気こそ、まさに家の問題です。

近年の日本の省工ネ住宅では、高い気密性が求められています。それは空気を逃さないためではなく、じつは上手に空気を入れ換えるために必要なことなのです。

換気量については、少なくとも2時間に1度の空気の入れ替えがあるように求められています。この時、しっかりと換気の経路を確保するためには、気密性がないと計画できないのです。そして、排気の熱を回収して、エネルギーの浪費を避けています。

その上で、日本の家は中国やヨ口ッパの家よりも窓が大きく、換気に向いている家といえます。本当に気密が必要な季節も、それほど過酷ではなく、長くもありません。

さらに、集合住宅が多い外国に比べて、日本の戸建住宅では四方に窓がとれるので、風通しの良い家にできます。換気という家の条件で考えれば、日本の家は少しだけウィルスに対して有利かもしれません。


「おうちのウイルス対策~免疫力を高める家~②」へ続く…
出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

健康と家の深いかかわり①

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みなさん、こんにちは!

家族のだんらんや日常的なしあわせ、そして子どもの将来を思う時、なによりも大切なのは家族の健康ですよね。

そして住まいには健康にも大きな関わりを持っています。一方、シックハウスという問題が無いわけではありません。

住まいと健康との関係と、その対策とはどのようなことでしょうか。

健康を害すること、維持すること

もっとも長い時間を過ごす住まいが、さまざまな要素で私たちの生活に関わりをもっていることは

間違いありません。

そんな大切な住まいの中で起きている事故での死亡者数が、交通事故による死亡者数の倍以上
あることを知るとショックを受けます。
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その事故や安全性より、もっと身近にあるのは住まいと健康との関わりです。

家庭内事故などの死亡事故は、明確な数値で知ることができますが、健康を害して悩んでいる人の数は

障害の度合いも含めて明確ではありません。

ましてや長い住宅ローン抱えてゆく上でも、健康は欠かせませんよね。

そして健康に関心を寄せている人が多いことも、疑うことはできないでしょう。

長い時間を過ごす住まいは人との関わりも深いので

1.健康を害する要因
2.健康を維持する要因

の大きく2つの要因となる可能性があります。

シックハウス症候群

健康を害する要因となる事例には、シックハウス症候群があります。

家が原因となる病気として家原病」といわれることもあります。

主にVOC(揮発性有機化合物)などによる、空気の汚染から

病気を発生すると考えられています。
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私たちが口から摂取するものの重さを比較すると、

圧倒的に多いのは住宅内の空気なんです。

ごはんの量にするとなんと、1日に40合分もの重さになります。

その空気が汚染されているとなれば、健康への影響も大きくなるのは当然のことですよね。

こうしたVOCの代表格は「ホルムアルデヒド」です。

有機化合物のひとつで、家具や建築資材、壁紙の糊や塗料などに含まれています。

こうした成分は新しい建材で発生することが多く、

リフォームによっても発生する可能性はあります。

ホルムアルデヒドは、シックハウス症候群の代表として社会問題にもなり、

建材などには放散量の基準があります。

星の数が多いF☆☆☆☆がもっとも安全とされ使用に制限がないのですが、

放散量は0.12mg/L以下でまったくないわけではありません。

毒性は高いですが明確な中毒症状となる濃度ではないとされています。

しかし、たとえ微量であってもアレルギー症状が出ている人にとっては

深刻な健康上の問題となりますので、どのような対策をするのかも含めて

真剣に考えておかなければなりませんね。



健康と家の深いかかわり②へ続く…
出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

『老後資金2000万円』~家は資産形成に役立つか?~③

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みなさん、こんにちは!

前回は、住宅ローンについてお話をしました。


その③をお送りします。

家という資産

65歳までに持ち家を得て完済してようやく、金融審議会報告書の試算のスタート地点に立てます。

この上で、およそ2千万円の老後資金が必要ということになります。

そのためには、繰り上げ返済してきた以上の努力を、

ローン期間中ずっと続けなければならないと考えるしかありません。

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実は、全く違う解決策もあります。

それにはやはり住宅が大きく関わります。

せっかくローンを支払って自分の持ち物になった住宅を、

現金化することができれば、老後資金に充当することができます。

その代表となるのが、リバースモーゲージです。

高齢者の持家を担保にして、一時金あるいは年金形式で借りられる

不動産担保型生活資金貸付です。

国の社会福祉協議会と民間金融機関が運営しています。

この制度を利用すれば、住宅の価値も資産の一部として活用できるので、

住宅を所有することがさらに有利になります。

ただし、国の基準でも基本的には土地の評価額の70%程度が目途であり、

欧米の住宅資産家の担保評価とは大きく違います。

資本家の建物とは違い、減価償却もしてない住宅の価値を、

国が先頭に立ってゼロとみなしているようなものです。

国の制度

この点で興味を引くのは、フランスのビアジェという制度です。

ビアジェは不動産取引として実施され、

月々の定期支払金を定めて死ぬまで負担するれば、

死後、その家の所有権が移転される仕組みです。

老後資金2000万円の逆算に成り立ち、30年を目途にすると、

月に5万5千円の定期支払金となります。

そのまま住み続けることもできるので、

収入がゼロでも老後資金の心配はなくなります。

一方、買い手は30年内に移転が行われれば、

その分割安に住宅資本を手に入れることができます。

多少、儲けの要素があります。

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いずれにしても、人生100年時代と言われ始めている今の時代に、

老後資金へのてだてしないわけにはいきません。

そして住宅が大切な資金、資本であることも間違いありません。

最大限の対策を進めながら、住宅がより有用な資産になる社会になるよう、

今後の国の活動にも注目し、より良い制度が施行されるよう見守ることが大事です。


出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

 

『老後資金2000万円』~家は資産形成に役立つか?~②

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みなさん、こんにちは!

前回は、住宅取得の資金ほど計画の立てやすいものはない

というお話をしました。

今日はその「『老後資金2000万円』~家は資産形成に役立つか?~①」に続き、その②をお送りします。

家賃の負担

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単純にアパートなどの借家に暮らしていれば、とても1万円強の家賃で住める場所はありません。

つまり、住居費とは主に修繕費を含める維持管理のための費用であり、

持ち家に住むという条件で計算されているということです。

たとえば、家賃10万円の借家に暮らし続けたとしたら、

2000万円の資産形成では足りなくなってしまいます。

10万円×12ヶ月×30年=3,600万円

借家に暮らしている場合には、さらに5600万円もの

資産形成を行っておかないと老後に暮らしてゆけません。

もちろん、老後を迎える30歳からの35年の間にも家賃を払わなくてはなりません。

その期間の家賃も合計すると、ほぼ1億円です。

3000万円ほどの家を建てる方が、ずっと現実的に感じます。

平均的な生涯年収を考えれば、半分から3分の1の収入を家賃として支払う計算になります。

それも家賃10万円では、決して豊かな住環境になっているとは思えません。

「家賃がもったいない」という動機で、家を求める人は少なくありませんが、

老後資金を考えれば、確かに切実な理由に思えてきます。

だからこそ、2連戸の家を建てて家賃収入でローンを軽減する建て方を選択する賢明な人もいます。

しかも金融政策によって金利が抑えられている今は、住宅ローンも有利に借りられる時代です。

ただし、安易な計算で決断しては危ない側面があることも忘れてはいけません。

住宅ローンの扱い

さらにこの試算では住宅ローンが完済されていることが前提です。

じつは試算表の別表では、高齢世帯が持つ資産額の減算項目として、

住宅ローン残高を計上することにしています。

つまり65歳になっても住宅ローンが残っていれば、

その残高を2千万円にプラスして用意しておかなければなりません。

現在の一般的な住宅ローンでは、返済期間は最長35年に設定することがほとんどです。

このため、65歳までに住宅ローンを完済するためには、

30歳までに家を建てておかなければならない計算になります。

そのためには、20代で住宅ローンが組めるような環境を整えなければなりません。

収入はもちろん、勤務先の信頼も必要です。

晩婚化も問題になっている昨今、ここでも若者への大きな負担がかかっいるように見えます。

もし30歳を過ぎてから住宅取得を計画した場合、

住宅ローンの返済期間を短くする選択もないわけではありません。

しかし金利が安い現在の状況を考えると、最長の35年で住宅ローンを組み、

繰り上げ返済で65歳までに完済することを目標にした方が良いでしょう。
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住宅ローン返済は元金分と利息分に振り分けられていますが、

繰り上げ返済では返済金額はすべて元金分に充当されます。

そのため、できる限り早い段階で返済するほど、返済総額は有利になります。

さらに住宅ローンには毎年の残高に対して、住宅取得促進税制により、

当初の10~13年間は住宅ローン減税が適用されます。

この制度を最大限に活かして、減税されて得た差額分を繰り上げ返済に充当するのです。

その他にも住まい給付金や住民税なども、出来る限り蓄えて繰り上げ返済に充当するのが、

住宅ローンを最大限に利用する有効な方法です。



出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

 

 

『老後資金2000万円』~家は資産形成に役立つか?~①

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みなさん、こんにちは!

【老後2000万円問題】と言われた、金融庁の金融審議会報告書の内容が大きな話題を呼びました。

ことの発端は、「夫婦そろって65歳から30年間生きると、老後資金が総額で2000万円不足する」

との試算が発表されたことです。

老後資金が年金だけでは足りず、別に2~3000万円の資産形成が必要だというのです。

このような年金時代に、私たちは住宅をどのように考えておいたら良いのでしょうか。


年金があてにならない?

そもそものことの発端は、ゆとりある老後生活するための金融サービスのあり方を、

金融審議会のワーキンググループがまとめた報告書です。

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夫が65歳、妻60歳以上の夫婦のみの世帯の、月平均支出は23万5477円。

これに加えて税金や社会保険料などの非消費支出が2万8240円あって、

平均的な生活を行うには、夫婦2人で26万3717円の費用がかかります。

一方、月平均収入は20万9198円

そのうち19万1880円は、いわゆる年金である社会保障費で、

その他に1万7000円程の雑収入があるとされています。
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この支出と収入の差である、毎月5万5千円が足りなくなり、

この不足分は貯蓄等で対応しなければならないとしています。

65歳から30年間暮らすのには、

54,519円×12ヶ月×30年=19,626,840円

もちろん、この数字は家庭調査を根拠として、あくまでも平均化した数値です。

実は、同じように高齢夫婦無収入世帯の平均的な純貯蓄額は2432万円あり、

合わせると平均的な家庭が破綻しているわけではありません。

それでも、年金だけではあてにならないということが心配の種になっています。


一方、65歳以上の就業率は、日本は他国に比べても高く、

さらには高齢者の運能力も15年前と比較すると、相当に高まっています。

2千万円の貯蓄額といえば大きく感じますが、たとえ月5万5千円

年収にすれば7~80万円の仕事があれば、それだけの貯蓄額に匹敵するということです。

しかし重ねて、これらの試算はあくまでも調査の上での平均的な数値から計算されたものであり、

たとえ平均であったとしても、この数値通りに生きられる人は決して多くはないはずです。

住んでいる家の状況も大きく影響するでしょう。

たとえば住宅ローンを抱える決断をするのにも、

こうした老後資金のことを考えないわけにもいかないはずです。

そして人生100年時代に向けた、長いスパンでの計画を立てる必要があります。

計算できる将来

ところで長い人生の中で、大きな支出を覚悟しなければならないのは、

どのようなことがあるのでしょうか。

主に次の3つがあげられます。

・自分の老後資金
・子どもの教育資金
・住宅取得の資金

今回は老後資金の問題が提起されましたが、あくまでも平均値であることは重ねて書きました。

仕事の有無や健康状態によっても大きく変わりますので、

正直なところ、本当に必要な資金は読めないというのが現実だと思います。

じつは同様に、子どもの教育資金についても、明確に計画が立てられるものでもありません。

たとえば子どもが進学する学校も、私学か公立かによって大きく変わります。

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この2つの不明確な将来の資金計画に対して、

住宅取得というのは取得金額と住宅ローンを組み合わせれば、

明確な資金計画をつくることができます。

人生で必要とされる資金として、住宅取得ほど計画を立てやすいものはありません。

住居費という支出は、費用のかからない親元に同居して暮らさない限りは、

どの家庭でも必ず必要です。

老後の平均的な支出の中の住居費は13,665円となっています。

それは高いのでしょうか、安いのでしょうか。




出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

耐震住宅の作り方③

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みなさん、こんにちは!

前回は、地震に強い家を作るには、強い壁とその作り方が重要だというお話をしました。

今日はその「耐震住宅の作り方②」に続き、その③をお送りします。


壁倍率と耐震等級

耐震等級

「耐震等級1」とは、「人の命を守るために倒壊を免れる」程度の耐久性がある家、というレベルです。

熊本地震のように連続して強い地震が起きると、すでに耐震等級1では足りないといわれ始めています。

そして現実に被害現場の声を聞くと、耐震等級の差は歴然としています。

それは家族の命を守るだけの差ではありません。

被災後、倒壊していなくても大破し、自宅に戻れず避難生活を余儀なくされる可能性があります。

一方、1.5倍の強度がある耐震等級3の家では、被災後に自宅に戻ることができています。

避難生活が長く続けば、地震の直接的な被害よりもむしろ避難生活が辛いと感じることもあります。

また、建替えの費用を考えても、大きな負担となります。

これらの状況から、耐震等級3を前提に考えておくことが求められるようになりました。

そのためには、壁倍率の高い強い壁も不可欠です。

構造計算とバランス

バランス

これまでの簡易の壁量計算はN値法といって、

建築基準法で定められた構造計算ではありません。

安全率を考慮して、壁倍率は最大5.0倍までとされています。

ただし、長期優良住宅などの申請では、このN値法の壁量計算も正式に認められています。

さらに、建物の強度を求めるためには、許容応力度計算などの構造計算が必要です。

この場合には、壁倍率7.0倍までが認められています。

こうした精造計算では、壁の量だけではなく、

建物全体の強度のバランスがより厳しく求められます。

耐震設計

どんなに壁量が足りていても、片側に偏っていると、ねじれるようにして倒れてしまうのです。

そのためには、東西南北それぞれに均等に壁を配置することが大切です。

構造計算上では、偏心率として計算され、0.15以下が基準になります。

新築はもちろん既存住宅の耐震補強でも、こうしたバランスのとれた耐震設計を行なうことは、

家族の命や生活を地震から守る大切な手立てです。

もちろん難しい計算やバランスは、プロに任せなければわかるものではありません。

それでも最終的には、壁の量とバランスさえチェックしておけば、それなりの強度を確認できます。

できれば耐震等級3がおすすめです。

この編集の間にも、桜島が噴火し、群馬、大阪と大きな地震が起きています。

いつ起きるかわからない地震から家族の命と財産を守るためには、

必ず確認しておきたいポイン卜ですね。


出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」
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