家づくり小噺

香りと住まい―安らぎの瞬間①

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みなさん、こんにちは!

普段の生活でも、消臭剤や芳香剤がよくつかわれていますが、
匂いは一度気になると鼻につくものです。

一方、芳香植物の匂いを使って、
ストレスを解消したり
心身をリラックスさせるアロマテラピーも
流行っています。

香りの種類も豊富に揃えられ、
生活の中に安らぎの瞬間を演出することtができます。

そんな香りのテクニックを住まいづくりに活かすことはできるのか、
そんな香りについて分析していきます。

人間の五感


私たち人間はさまざまな刺激を、目や耳・肌・口・鼻で感じています。
光を見て、音を聞き、肌合いを感じ、味わい、匂いを嗅ぐことは、
視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚の5つの感覚です。

これらの感覚が、科学的に研究分析されるとちょっと面白い話があります。


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たとえば、視覚は3つの要素、味覚は5つ、聴覚は7つの要素で応用されています。

そして触覚は、一つあるいは2つの要素です。

目では光を見ていますが、さまざまな波長をもつ光のうち、緑色の波長である555nmを中心にして、約400~700nmの波長の刺激を感じているのです。

これを比視感度といい、これらの光の組み合わせによって色を識別しています。

その色彩については、色の三原色といわれるR(赤)G(緑)B(青)の組み合わせで分析して色を再現しています。

そして、私たちが普段見ているカラーテレビを発明し、映像を再生しました。

視覚にとっての要素は、三原色です。

次に人間の口では、昔から5味あるといわれています。

甘・辛・塩・酸・苦の5つの味です。

ほとんどの料理の味も、これらの組み合わせで評価しています。

子どものころに酸味や苦味が苦手なのは、腐ったものや毒を判断するために過敏になっているそうです。

大人になって分別がつくようになると酸味や苦みもおいしく感じるようになります。

耳では空気の振動を捉えて、聞き分けています。

20Hzから20,000Hzの波長の空気の振動を感じる器官です。

人間は、その波長を1オクターブの単位で分け、音階を組み合わせて音楽を生み出しました。

1オクターブは、ドからシまでの主要7音階で区分しています。

人の肌は精度の高い、圧力センサーのようなものです。

精密なセンサーでも計測できない変化を、職人は指先で感じているという話もよく聞きます。

温冷点や圧点などもありますが、基本は触れている感覚ひとつが中心です。

では、鼻で感じる嗅覚というのはどうでしょうか?

ところが匂いを言葉で表現することは難しく、しかも順応することで匂いを感じなくなることもあります。

実は香りについては、まだ未解明の部分が多く残されているのです。


匂いの不思議

嗅覚の仕組みが分かってきたのはきわめて近年のことです。

2004年のノーベル医学生理学賞で「におい」を認識し記憶するメカニズムを解析したとして、アメリカの二人の科学者、R.アクセル博士とL.B.バック博士に賞が与えられました。

その授賞理由も「人類のもっとも謎に包まれた感覚」の理解を高めたことにあります。

この受賞からは、まだ10年もたっていません。


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しかも3色・5味・7音階のように単純な組み合わせではなく、約1000種の嗅覚受容体が働いているにあります。

さらにほかの感覚は脳の視床下部経由で大脳に届くのに対して、嗅覚は大脳辺縁系と連動して大脳の嗅覚野に届きます。

大脳辺緑系は脳の中でも最も古い部位の一つであり、動物に共通する機能として関連している部位です。

そして情動や記憶の形成にも関わりの深い部位でもあります。

つまり人が感じている匂いとは、その人の記憶や思い出とも深い関係にある感覚ということが分かってきたのです。


出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

省エネ住宅義務化への道―省エネを知らずに家は建てられない④

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みなさん、こんにちは!

前回は、省エネ住宅の適合判定をどのように行うのか、どんなことを建築士が説明しなければならないのかということをお伝えしました。

今回はその「省エネ住宅義務化への道―省エネを知らずに家は建てられない③」に続き、その④をお送りします。

省エネ住宅のメリット

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いずれは省エネ住宅に適合することが義務化される背景には、地球環境への取組があることを書いてきましたが、省エネ住宅にすることは、住まい手にとってのメリットもたくさんあります。

エネルギーを逃がさない家は、冬に冷え込むことも夏に熱中症の心配をすることもすくなくなります。

1年中、そして24時間快適な環境で過ごすことができます。

そして、快適な環境で過ごすことは、それだけでも家族の健康につながります。

国土交通省はこの健康メリットを強くアピールしています。

しかも、そんな快適な空間を維持するのにも、エネルギーの無駄遣いを省いているので費用負担が少なくなります。

その意味では、家計にも優しい家となります。

捨てるエネルギーにお金を払うより、少しでもローン返済に充てる方が得することは間違いありません。


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そのうえ、再生可能エネルギーとして太陽光発電などでエネルギーを創り出せば、さらに家計を支援してくれます。

電力買取り価格も安くなりましたが、使用する電力分を賄うことができれば、月々の電気代を無くすことも不可能ではありません。

太陽光発電や家庭用蓄電池は、日常だけでなく災害時に電力を確保するという点で頼りになります。

子ども達の将来のために環境を守ることはもちろんのこと、このようなメリットの多い省エネ住宅についてしっかりと検討しておくことは大切なことです。

新制度の施行を機に、建築士の方にしっかりお話しをきかれてみてはいかがでしょうか。

出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

省エネ住宅義務化への道―省エネを知らずに家は建てられない③

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みなさん、こんにちは!

前回は、省エネ住宅説明義務化により、建築士にはどんな義務が課せられたかというのをお伝えしました。

省エネ住宅の適合判定

ところで、省エネ住宅というのは、どのようなものなのでしょうか。

性能が高い家を求めれば、当然のようにコストが高くなるものです。

国土交通省の試算では建築費用の4%にあたる87万円負担が増えるとしています。

省エネ効果で年間2万5千円の光熱費が節約できても、ローン返済と同じ35年かかります。

また、単純に断熱性を高めて、熱が逃げにくい高断熱の家をつくれば、省エネ住宅になると思いがちです。

確かに、高断熱であることはエネルギー消費を抑えることになりますが、それだけで省エネ住宅というわけにはいきません。

断熱性に加えて、上手なエネルギーの使い方もできて、はじめて省エネ住宅としての評価ができます。

先の原油換算値の目標にも似ていますが、家で使われているエネルギー量は、想像以上に断熱よりも、給湯・照明・動力に使われている量の方が多いのです。


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したがって、省エネ住宅の適合判定には、外側の断熱性能による熱の損失に関わる事項と、住宅内の生活で使用する一次エネルギー消費量を、計算しまければなりません。

お客様への省エネ住宅説明義務を負う建築士は、次のような計算を行った上で説明することを求められています。

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見るだけでも面倒そうなことですが、お客様は計算結果として省エネ住宅として適合しているかどうかを確認するだけでいいので、ご安心ください。

ここにある項目は、同じ適合判断を行うのに、さまざまな計算方法等があるということです。

標準的な計算方法(UA値等)や、以前から使われていた床面積当たりの平均値(Q値)に加え、ウェブ上のプログラムで判定する方法などがあります。

特に、断熱性の判定には、建物外皮の性能を算定することが欠かせません。

外皮とは、家の中と外を分ける皮膚のようなものです。

壁や屋根はもちろん、一階の床下も外皮です。

家の設計に凸凹があれば、それだけ複雑な外皮となります。

窓も壁に空いた穴のようなもので、サッシの性能も大きく関わります。


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ということは、間取りの変更や窓の変更等を行えば、壁・屋根や窓の面積も変わり、省エネ住宅の性能値も変わるということになります。

時には、制約を受けることや、適合させるためにコストの変動も起こりうるので、しっかり建築士に相談を重ねる必要があります。

ただ、適合判定には、性能を明記した断熱材とサッシ等の仕様を定めることで、面積や設計に制約を受けないで省エネルギー等級4の適合を得る方法もあります。

より省エネ性能を高めるためには、欧米の家のように窓を小さくする必要も生じますが、例えば日本の伝統的な家のように大開口のデザインでも適合しやすくなります。

設計での混雑を避けるためには、最初に建築士と仕様基準による省エネ適合を定めておいて、最終的にデザインが決まってから、より高い省エネ性能とコストを目指せばよいのではないでしょうか。


「省エネ住宅義務化への道―省エネを知らずに家は建てられない④」に続く…

出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

省エネ住宅義務化への道―省エネを知らずに家は建てられない②

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みなさん、こんにちは!

前回は、2021年4月に省エネ法が改正され、説明義務化になったことから、
日本が省エネに対しどのように取り組んでいるか、実際に数値ではどのくらいをめざしているのかをお伝えしました。

今回は、その「省エネ住宅義務化への道―省エネを知らずに家は建てられない①」に続き、その②をお送りします。

省エネ性能の説明義務

2021年4月より導入された、新省エネ法では、省エネ性能に適合させなければならない建物の範囲が広げられました。

これまでは、住宅以外で2000㎡以上の大規模建物に適合が求められていましたが、300㎥以上となりました。

それでも住宅は含まれていませんので、たとえば大規模なマンションでも適合させる義務はありません。

さらに300㎥以下であれば、届け出を行う必要もなく努力義務となっています。

したがってほとんどの注文住宅では法的な規制を受けることはほとんどありません。

このようなこともあって、じつは既存住宅5000万戸のうち、現行の省エネ基準に適合しているのは、11%ほどしかありません。
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ただ、国土交通省は、本来住宅を含むすべての新築建物に、省エネ基準適合の義務化を目指していて、2025年度から実施する方針としています。

それまでに省エネ住宅を推進するために新しく定められた措置は、お客様に対する義務ではなく、お客様に住宅の計画を提案する建築士に義務が課せられました。

その義務とは、お客様に対して省エネ住宅として適合評価がなされているかどうかを説明する義務です。


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つまり、お客様は省エネ住宅の性能の説明を受けないまま、建築士と新築工事計画を話すことは基本的にできないことになります。

もちろん、省エネ住宅として適合させることは現状では努力義務ですので、適合しなくても良いという選択をお客様が選ぶことはできます。

その場合は、該当する建築士に説明を希望しない旨の意思表示を行う必要があります。

そうしないと建築士が法令違反となりかねません。

またさらに、適合しない場合には、省エネ性能を確保するための措置についての説明を、お客様に行うことも建築士の義務となっています。

さらに口頭だけによる説明だけでは不十分で、木造・二級・一級建築士としての種別や、登録番号、所属事務所等を15年間保管しなければなりません。

このように建築士の負担が大きくなるという制度であり、お客様の協力がなければ進めることができません。



出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

省エネ住宅義務化への道―省エネを知らずに家は建てられない①

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みなさん、こんにちは!

政府は、2050年の温室効果ガス排出ゼロを宣言して、世界的な地球環境に対する日本の取組を強く進めようとしています。

その目標達成のために、2021年4月から、一般住宅にも省エネ法が改正され設計の際に施主への説明義務が新しく追加されました。

今回は、その新しい制度の概要を通じて、省エネ住宅について分析してみました。

CO2排出ゼロに向けて

世界のどこかで大雨による洪水や、乾燥、山火事などのニュースが聞こえてきます。

日本でも毎年のように、大型台風が来て、想定外の大雨が降っています。

COVID-19の感染症でパニックになっている世界に、永久凍土が溶けてさらに未知のウイルスが発生する可能性もあるといいます。

今や気候危機は、まさに現実化しているようです。

この地球上に長く暮らすことになる子供たちに、不安定な地球を残すことがないように、パリ協定によって温室効果ガスの削減目標が決められました。

2013年の排出量を基準にして、排出量で26%の削減を世界で目指します。

その目標は日本も一緒です。

メタンガス等の他の温室効果ガスを除いて、日本のCO2の排出量は25%削減する目標が定められています。
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このCO2の排出量については、大きく4つの部門に分けられています。

産業部門・建築物部門・運輸部門・エネルギー転換分門です。

製造業などの産業活動から排出されるCO2、ビルや住宅などの建築物から排出されるCO2、車・電車・飛行機・船舶などの運行から排出されるCO2、そして火力発電所などから排出されるCO2です。

このそれぞれの部門ごと、次のように目安が定められています。


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これらの目安が、複雑な事情を解して定められているとは思いますが、建築物部門の削減目標が高いことがわかります。

省エネ性能の高い住宅を推進することは、大きな使命になっているのです。

この最終目標のエネルギー消費量を原油換算値で表すと、家庭部門では、1,160万klになります。

この中には、新築住宅の省エネ性能を上げるほかに、給湯器や照明器具の効率やエネルギーの使い方でも削減が可能です。

それぞれに割い当てられている目標値は次の通りです。
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この中で新築住宅の省エネ性能向上は、27%に相当します。

意外と少ないと感じる人も多いと思いますが、現実に家庭で消費されているエネルギー量も似た傾向にあり、断熱性能だけでなく、給湯や照明・家電製品などに使われる量が多いのです。

じつは、運輸部門の次世代自動車の普及等による削減では、938.9万klの削減が見込まれていて、自動車の普及だけで家庭部門の9割削減に相当します。

全体の中では、新築住宅の省エネ性能向上により6.2%の削減が見込まれています。

このような背景から、省エネ住宅推進のための新制度が施工されました。


出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

ライティングの家学―明かりが生み出す空間③

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みなさん、こんにちは!

前回は、明かりについて三原色などを用いて理論的に説明をしたうえで、照明計画をどのように行っていくかを説明しました。

今回は、その「ライティングの家学―明かりが生み出す空間②」に続き、その③をお伝えします。

明かりとしての光

生活空間に使用する照明器具では、これらの性能をしっかり吟味しておかなければなりません。

照明を選ぶというのは、単に器具を選ぶのではなく、色を演出する光のコーディネー卜です。

光量や色温度などの要素を組み合わせて、暮らしのシーンにかかわる光のコーディネー卜例を簡単な表にしてみました。


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たとえば作業のシーンでは、なによりも十分な光量が必要です。

情感よりも効率を求めるため、色温度は高めの設定にします。

作業をする部分では暗い部分ができないようにしますが、部屋全体としては作業部に光を集中させることで作業効率を高めることができます。

食事のシーンでは、食べ物をおいしく見せることに集中します。

色温度は比較的低めに設定し暖かみを出すと同時に、食べ物をおいしそうに見せるためには最高の演色性が求められます。

くつろぎのシーンでは、光量は押さえ目です。

色温度も暖かみのある低めの色温度に設定します。

こだわりの演出には漬色性の高いスポットライトでメリハリをつけても良いでしょう。

明かりの文化

火を明かりとしていた時代から、明かりは床から天井へと移動し、より少ないエネルギー量で明るくなりました。

そして光の強度や漬色性色温度などの物理的な光の特性を状況に合わせて組み合わせて使えるようにもなりました。

同時に光源の大きさは、飛躍的に小さくなり、熱の発生も少なくなりました。

その意味では、新しいデザインの照明器具が生まれる環境が整ったといえますが、逆に新しい光源に照明器具の開発の方が、追いついていない状況にあります。

これまでの住まいの照明の環境も、コーディネー卜次第では、大きく変えてゆくこともできます。

では、どのような明かりを考えれば良いのでしょうか。

大きなヒントは、点光源から面光源で考えることです。最初の電気の光である白熱灯は典型的な点光源でした。

その後の蛍光灯は、線の光源と考えることができます。

そして小さくなったLEDは、ずらりと並べ、拡散させることで面として光らせることができるようになります。

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太陽の光から直接届く光は点光源とした光ですが、空に拡散した全天空光は面光源の光です。

まぶしい光が目に入らないので、穏やかで快適さが増していると感じます。

点光源では話し相手の顔に、しっかりと影ができるのに対して、面光源では影もできにくくなります。

これまでにも、多くの照明デザイナーが間接照明として、面を光源とした空間を考えてきました。

さらにこれからの面光源は、シンによって色温度を変えることもできます。


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考えてみれば、天井から降り注ぐ蛍光灯の光は、シーン演出でも事務作業に適した明かりの空間づくりです。

あえていえば、効率だけを求めた文明的な明かりです。

仕事から帰って、家族とともにくつろぐ場は、もっと文化的な明かりを求めたいものです。

また、面光源の明かりと同時に、天井以外の明かりも採用したいものです。

日本の伝統である明かり障子は、外の光を障子紙で拡散させることで、部屋の中に横からの柔らかい明るさを創りだしています。行灯の光も同様です。

夜、部屋に入ればつける照明も、ふと、その時の気持ちゃムードに合わせて、どのスイッチを入れたらよいかと迷うのも、豊かな生活の一端になるのではないでしょうか。

出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

ライティングの家学―明かりが生み出す空間②

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みなさん、こんにちは!

前回は、照明の明るさが日本と海外でどのように楽しみに違いがあるのか、照明の技術が進化しているということをお伝えしました。

今回は、その「ライティングの家学―明かりが生み出す空間①」に続き、その②をお送りします。

明かりの理論

電気による照明器具として白熱灯が、どの家庭にも普及したと思ったら、エネルギー効率の悪さですでに生産を中止しています。

さらに、その次世代の照明であった蛍光灯も、同様に生産をやめようとしています。

すでに明かりのない世界などは想像すらできないのですが、決して明かりが失われているわけではありません。

LED、そしてさらには有機ELという、新しい発光装置に変わろうとしているのです。

炎から電気に代わって、大きく扱いやすくなった光が、さらに進化して新しい光が生み出されているのです。

この間に光の基礎科学も進化して分析が進みました。照明器具の進化とともに、じつは明かりの質も選べる時代になってきているのです。


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たとえば、色の三原色は赤ー青ー黄です。

専門用語では、紅(Magenta)藍(Cyan)黄(Yellow)といい、これらの色を混ぜ合わせると、どんな色もつくれます。


これに対して光の三原色とは、レッドグリーンブルです。

私たちがテレビを見る時には、このRGBの三原色で表現された光を見て色を感じています。

黄色がグリーンに変わっただけのように感じますが、じつは赤とレッド、青とブルーは同じ色ではありません。

物の色に色合いや明るさ、そして鮮やかさの3つの要素があるように、光にも要素があります。

光の強度と波長と色温度です。

光の強度はカンデラやルーメン、ルークスという単位で表されます。

概念的には光の強度は、そのまま光の量であり、最終的には何畳用と部屋の大きさで考えられます。

次に、光の波長を代表するのは虹の7色です。

人の自に見える光は隈られていて、その外側にある赤外線や紫外線の光は、強い光であっても私たちの目には見ることができません。

この光の波長を、長いJISから並べると、赤樟黄緑ー青藍紫となります。この中に三原色の色が含まれています。

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そして3つ目の要素として、色温度(Kケルビン)というものがあります。

色温度は発光体の温度が高くなるほどに、光の色が赤い色から、白、青へと変化します。

この熱放射を定量的に測定することで色温度を表現します。

高い色温度ほど寒色系となり、色温度が低くなると暖色系となります。
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色彩工学では6500Kが標準の白とされていて、普通の太陽光は5~6000Kで、ほんのり黄色味となります。

これが夕陽になるとおよそ2000Kとなり赤味が強くなります。

じつは身の回りでも使われていて、アメリ力のテレビは6500Kを標準としていて、日本のテレビやパソコンの画面は9300Kの色温度に設定されています。

少し青昧が強いのですが、人が感じる白さの遣いが文化によっても遣うということです。
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色温度というと分かりにくいのですが、昔の電球の色と蛍光灯の色の差と聞けばわかりやすくなります。

日本人の方が蛍光灯を好むのです。

その蛍光灯も、電球色や白色昼光色など選べるようになりました。

この光の色の差が、下表のJIS規格でも色温度で設定されています。

現実の空間のライテイングを考える時には、さらに2つの要素が加わります。

演色性と輝度対比です。

演色性というのは、どれだけ自然光に近い色になるかを測ったものです。

モノが見えるのは、光がモノにぶつかり反射した色を感じているからです。

したがって光の質が変われば、モノの見え方も変わり、自然光に近いほど、自然の色に近くなります。この色の再現性を演色性といいます。

また輝度対比とは、対象物と周囲や背景の光の強さの差を表します。

暗い背景の中に、あまりに強い光があると目が肱みます。

光源が目線に入らないように設計することも大事なライティングの要素となるのです。


出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

ライティングの家学―明かりが生み出す空間①

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みなさん、こんにちは!

夜になると、たとえ同じ空間であっても、昼間に感じていた雰囲気が大きく変わることがあります。

光の当たる角度が変わると見え方が変わり、そしてムードもかわります。

人類は、さまざまな光を発明することで暮らしの空間を変えるテクニックを手に入れました。

今回はそんな住まいの空間づくりに欠かせない、ライティングについて分析していきます。

人の明かり

自然の中では、太陽が昼と夜を作り、ほとんどの動植物はその自然の明かりに従っていきています。

光合成をする植物が太陽の光に向かうのは当然のことです。

動物では、天敵から逃げるために夜に行動する動物が、夜目が効くように目を進化させ、その獲物を捕らえるために捕食動物にも夜行性が生まれます。

残念ながら人間の眼は夜には不向きです。

でも、人間は夜にも光を創り出して活動を広げました。

長い人類の歴史の中で、さまざまな明かりを生み出し、今や都会は、不夜城となり、コウコウと光を放っています。


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普通に考えれば、最初の明かりは、火を扱い始めた時であったでしょう。

もちろん照明としてだけではなく、暖をとり、調理をし、身を守るためにも使われていました。

人類と火との付き合いが長いからこそ、西洋で暖炉が根強く残り、日本で囲炉裏に憧れを抱くのだと思います。

その炎を、小さくコントロールできるようになると、松明やかがり火のように明かりとしての用途ができます。

大きな炎では、キャンプファイアのように床面からしか得ることができなかった光が、少し高いところに掲げられます。

でも、炎は立ちのぼるので、天井には付けられません、

日本では、行灯のように障子紙を使ってうまく光を部屋中に拡散させる知恵を使っていました。

さらに炎は小さくなり、そしてオイルランプが生まれて壁に掛けられ、やがて天井から下げる明かりができるようになります。

自然の光は、太陽や月など天から降り注ぐものです。

それに対して、人口の明かりは床から始まり、少しずつ上がってゆきます。

そして電気の発明により、現代では上からの光も普通に得られるようになりました。

電気の明かり

電気の照明が生まれてからも、じつは明かりの進化が止まっているわけではありません。

現代の一般的な住宅は、白熱灯や蛍光灯などの照明器具によって生まれ変わりました。

何よりも使われている数が増えました。


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そんな中、天井からの明るい環境を求めるのは、日本人に特徴的な事といわれています。

海外のホテルに泊まった時に、あまり明るくない部屋の印象を感じている人も多いと思います。

特に天井の照明は少なく、スタンド等をうまく使いこなしています。

谷崎純一郎の「陰影礼賛」でも、単に明るいのではなく、暗さを楽しむことが書かれていますが、これが書かれること自体、日本人の明るさ好きが証明されているようです。

日本では、一般的な家庭の消費エネルギーの三分の一が照明や家電に使われています。

そのエネルギー問題も解決するように照明器具の技術も進化して、LEDによって、また新しいライティングの可能性が生まれようとしています。


出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

Timber Crisis 木材危機がくる⁉ ~コロナ禍がもたらした意外な影響~③

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みなさんこんにちは!

前回は、新型コロナウイルスの影響で、木材の価格がこれまでに比べて異常な高騰が起こっているということをお伝えしました。

国産材率の向上

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しかし、これだけの森林と木材を抱えていて、日本は多くを輸入に頼っているのが現状です。

2002年には木材の自給率は18.8%にまで下がりました。

日本の森から木材を伐ってくるよりも、外国から輸入した方が安く上がるのです。

70年という期間をかけて育ててきた木材が活用できないことは、森林事業者の活躍の場も失い、結果的には山も荒れることとなります。

環境的には、まさに大きなジレンマを抱えることとなりました。

こうしたことから、国産材の活用が推進され、2019年には37.8%まで回復してきました。

中でも丸太として輸入する木材が大きく減っています。
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じつは、国産材の動きもまた、新型コロナウイルスの感染拡大によって別の影響を受けています。

輸出入の停滞によって流通が止まり、国産材が余ってしまっています。

先物の不足感とは逆の動きです。
この状況を打破するために「過剰木材在庫利用緊急対策事業」を立ち上げ、時限的に国産材の活用を推進しています。

日本の木材も少しずつ輸出資源になろうとしているのです。

しかし先物取引として、海外木材の価格が高騰することは、国産木材にも大きな影響を与えることになると思います。

それはつまり、国産材の価格が上がることが強く懸念されます。

住宅を建設するには多くの木材を必要としていますので、新築住宅の価格も当然のように上がることが予想されます。

新型コロナウィルスのパンデミック以前から各種の経済対策が実施されて金利も極めて安くなり、住宅を手に入れやすい時期が続いていました。

加えて新しい生活様式に伴う住宅需要に世界が動けば、すでに次の兆候が表れているのです。

金融世界の中で長期金利が上がりつつあり、住宅ローン金利も上昇傾向にあります。

それに加えて、木材価格の高騰で、住宅価格に影響が出ます。

住宅ローン金利は、たった0.5%上がるだけで、返済総額は9%ほど増え、消費税に相当するほどの負担となります。

さらに住宅価格が上がることを考えると、間違いなく近い将来には家を求めることも簡単にできなくなる可能性があるのです。

木造住宅の価値

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このような木材需要の時代を見越せば、住宅の価値も変わる可能生があります。

たとえば、見積書を見た時にも、総額の比較だけではなく、どれだけの木材が使われていて、さらに国産材の割合も確認しておくのです。

なによりも、貴重な木材を使っているのですから、大事な目安になります。

各地に残されている古民家も、改修が大変と思われて重荷になっていますが、木材の価値として見直せば、大変な財産に見えてきます。

しかも、長い時聞をかけて乾燥が進み安定した材となっているのでなおさらです。
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さらに木材は、2050年までにCO2ゼ口を目指す上でも大切な役割を果たしています。

CO2を排出しない再生エネルギーを推進する排出削減策に加えて、CO2固定化の新技術と並んで植林による固定化が負の排出削減として期待されているからです。

日本の木材資源は伐採期を迎えて、新しく植林の時期を迎えています。

植林を進めるためにも、木材を有効活用する必要があります。

その活用法の中でも耐久材である住宅は、長くCO2を固定化させるので、脱炭素化へ貢献できるのです。

国産材を使用することは、この点でも重要なポイン卜となっていることは間違いありません。

そんな環境への貢献度も含めて、住宅にどれだけの木材を使っているかを考えることはさらに大切なことです。

環境問題には、森林と木材の価値の高さを抜きにして語ることはできません。

この大切な木材の価値が、新型コロナウィルスのパンデミックとも関連じて高騰しているという動向には目が離せません。

やがて木材危機が来て、手に入らなくなる前に、的確な住宅取得の手筈を進めておきたいものです。

出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

Timber Crisis 木材危機がくる⁉ ~コロナ禍がもたらした意外な影響~②

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みなさん。こんにちは!

前回は、世界的なコロナウイルスの影響によりアメリカや中国では住宅バブルが起こり、アメリカでは大都市ニューヨークから郊外へ流出する人々が急増しているという状況をお伝えしました。

木材先物取引価格

アメリ力や中国をはじめとした国々で、住宅への投資が過熱化してくると、さらにさまざまな影響が広がります。

たとえば住宅をつくるのには欠かせない、木材の価格に着目してみましょう。

国際金融市場関連の情報が集積されている「Investing.com」の中に、世界で流注している木材先物取引価格のデータが公表されています。

直近の1ヶ月間を見ると、比較的安定しているように見えます。
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よほど木材関連の仕事を手がけていない限り、現在の価格が高いのか安いのかは、わからなくて当然です。

ただ、価格の変動をグラフ化して見ると大きな動向はつかめます。

新型コロナウィルスのパンデミックが始まった直近1年間の動向となると、木材先物価格が大きく変動していることが分かります。

そして、2021年に入ってから工材価格が高止まりしていることも明確です。
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木材先物1年先物取引ですから、多くのインベスタが木材価格がこれから高騰するであろうことを予測している結果である
と考えられます。

新型コロナウィルスによって生活様式が変われば、新しい家を求める人も増え、木材需要が高まると見込んでいるかのようです。

さらにこの状況が、どれほど特異的なものであるかを知るには、10年間の先物取引価格を見るのが良いでしよう。
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じつは、この1年の聞に異常と思われるほどの高騰が起きていることが明白になります。

国債市場の中では、木材の奪い合いが起きかねません。まさに、Timber crisis(木材危機)の兆候が見え始めていると考えたくなります。

木材が足りなくなる

それでは世界の木材の事情はどうなっているのでしょうか。

たとえば、アメリカや中国は、とても大きな国土を持つ国です。

両国ともほぼ面積を持ち、日本のおよそ25倍あります。これだけの国土に、森林が育っていれば、木材に困らないと思いたくなりますが、現実は遣います。

たとえば、日本の国土に占める森林率は約70%と高いものですが、じつは両国ともに20%の森林率しかありません。

アメリ力も中国も、じつは砂漠の多い固なのです。

たとえ25倍の広さがあっても、森林量は約7倍ということです。

さらに日本の森林面積のうちの41%である、1000万haが人工林となっています。

もちろん危機感を持っている中国では人工林を推進していて、3000万haを超える面積の国土を人工林にして世界ーとなっています。

でも、中国の人口は日本のおよそ10倍あるので、国民1人あたりの人工林の保有量として考えてみると、日本の3~4分の1ということになります。


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そして木材は、住宅を建てるだけで1はなく、石油と同じようにとても広い範囲で人類は活用しています。

直接燃料として燃やされる木材があれば、溶かされて紙の原料になっている木材もあります。

中国のような人口の多い国の経済活動が進めば進むほど、Timber Crisisの可能性は高まるばかりです。

現実に、中国はアフリカの途上国に支援をする形で森林を切り開いています。

しかも資金的な支援だけではなく、余るほどの人口をベースに入手の派遣も行い、急ピッチで森林資源の確保を進める
行動は、経済的な植民地化と欧米諸国からは警戒されているほどです。

日本では日本書紀が書かれた時代から、そして江戸時代にも盛んに植林が行われ、さらに大戦後の70年をかけて人工林が育ってきました。

アフリ力の森林開発は貴重な自然林を失うことにもつながりかねません。

一度伐採してしまえば、半世紀以上を待たなければ人工林は完成しないのです。



出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

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