家づくり小噺

窓枠から見える風景~庭木選びのたのしみ~②

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みなさん、こんにちは!

前回は、庭木を選ぶのに、最初に知っておきたいのは、植栽の分類。というお話をしました。

今日はその「窓枠から見える風景~庭木選びのたのしみ~①」に続き、その②をお送りします。

五木と風水

代表的なのは、江戸五木です。江戸時代の江戸で重視されていた庭木は、モッコク・アカマツ・イトヒバ・カヤ・イヌマキでした。それがたとえば瀬戸内気候の播州五木では、マツ・モッコク・アラカシ・ヒイラギ・ナンテンと変わります。それぞれに願いが込められていて、マツは長寿、モッコクは繁栄、カシは達成、そして魔除け、厄除けの意味があります。

江戸と播州で共通しているのはモッコクで、庭木の王ともいわれます。
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モッコクは、耐暑性には優れていますが、やや耐寒性に弱く、関東南部以西で九州沖縄まで植栽できます。暗緑色で厚い葉と枝が密に茂るので、ボリューム感があります。横に広がって育つので繁栄を意味し、狭い場所には不向きと言われますが、刈り込みにも耐えるので、幅広い活用法がある樹木です。
このように五木として選ばれる庭木には、まるで花言葉のような様々な意味合いがあります。単純な庭としてのデザインだけだはなく、こうした意味を込めることが庭木を選ぶことでもあるのです。代表的な縁起木を表にしてみました。

アジサイ:家族和合の象徴
エンジュ:敬老や長寿の祝いの記念樹
オリーブ:平和と友愛の象徴、家内安全
クロガネモチ:立身出世の縁起樹
コデマリ:子どもの健康祈願
ナンテン:「難を転じる木」から、安全祈願
サツキ:長寿と健康の喜びを象徴
コブシ:幸せをつかむ、幸運を握る
ツバキ:寒中にも濃緑な葉を茂らす不屈の生命力
サルスベリ:幸せが長く続く
ハナミズキ:女の子の成長を祈願
ヒイラギ:魔除け、鬼除け、幸福の象徴
キンカン:輝かしい栄誉をたたえ、大願成就の象徴
庭木にこのような意味を込めることは、庭木選びが文化として根付いていることの証拠です。その願いは、風水にも通じています。現代では風水といえばインテリアだと思っている人も多いのですが、古くは庭づくりで風水が考えられていました。

日本でも最も古い造園の書物『作庭記』には、石の立て方や水流のあり方などが書かれています。その基本は風水で、東西南北の四神である青龍・白虎・朱雀・玄武を奉ることにあります。その『作庭記』には「四方に木を植え四神具足の地となす」とあります。

たとえば東には青龍に代えてヤナギ9本。西には白虎に代えてヒサギを7本。南に朱雀を代えてカツラを9本。北に玄武に代えてヒノキを3本植えると、無病長寿の屋敷になるとあります。

ただし、その他は心に任せるままに植えても良いとしています。また、古人のいい伝えとして、東には花の木を植え、西にはモミジ、門の脇にはエンジュを植えるとあります。

ちょうど似たような時代に書かれた、兼好法師の『徒然草』第139段でも、「庭に植えたい木」として、庭木のことが書かれています。
兼好法師 徒然草 第百三十九段「庭にありたき木」
樹木・・・松・桜・梅・柳・楓・橘・桂
草・・・・山吹・藤・杜若・撫子・蓮・荻
     薄・桔梗・萩・女郎花・藤袴
     紫苑・吾木香・刈萱・竜胆・菊
     蔦・葛・朝顔

これらに取り上げられた植栽の名前を、少しずつ覚えることから、庭木選びが始まります。

未来の姿を想像する

その上で、庭木は家族と一緒に育つ大事な仲間にもなってくれます。その代表が記念樹です。

庭木選びでは、木々が長生きすることを忘れてはいけません。最初に植えた時にベストになるのではなく、時を経て庭は完成します。その未来の姿を想像しておくことです。

小さな苗木を植えても、生長して大きくなれば、環境としての資産価値は増大します。
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しかし、最も注意しておかなければならないことは、さらにその先の未来があることです。つまり、育ちすぎて手に負えなくなってしまうのです。特に近年では、庭木によく使われる水木で、そのような傾向があります。

水木とは建材などに使われる堅木とは違い、木材としての加工に適さない樹木のことです。水の多いところで育ちます。カツラやハナミズキ、ヤマボウシ、トネリコなどがその代表です。

日本の古くからの水木は、夏季には暑さで休眠して生長を止めますが、南方原産の樹種で、日本で越冬した株から分けられた植木は夏にも休眠しないで生長します。地植えでは値の張り方にも限りがないので、好きなだけ伸びてしまいます。しかも人の手によって、水だけはしっかり与えられます。病害に強いことで選ばれるトネリコなどで、大きくなりすぎて困る事例がよく聞かされます。

こうした庭木では、中高木でも地植えではなく鉢植えで庭木とすることも考えられます。それによって生長が抑制されるのです。いよいよ庭木もインテリア感覚でコーディネートすることができるようになります。エクステリアでの鉢植え植栽は、良い状態の管理が求められるホテルなどで、よく利用されています。

こうして植栽の文化を知り、生長するのを楽しみ、その上四季の移ろいも計画された庭ができれば、あとは愛情を注ぐだけです。手を入れるほどに、庭木は美しさで返してくれます。
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もちろん、広い庭でなくても楽しみはあります。集中的に手を入れたい場所は、2つあります。

ひとつは、玄関までのアプローチ。シンボルツリーと低木の組み合わせで、家の格が上がります。そしてもうひとつは、居室からの窓を額縁に見立てて、風景をつくる庭です。近景と遠景を組み合わせれば、尽きない楽しみになるはずです。


出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

窓枠から見える風景~庭木選びのたのしみ~①

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みなさん、こんにちは!

コロナ禍に苦しみ右往左往する人の営みも知らずに、草木は芽吹き花咲き茂り、変わらぬ季節の移り変わりを表しています。「おうち時間」が増えて、庭に手を加える人も増えています。庭づくりは、戸建住宅だからできる楽しみのひとつです。庭木の選び方を工夫することで、窓から見える風景の楽しみを加えませんか?

戸建住宅の楽しみ

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土地を買って、家を建てる。それはマンションと違う楽しみがあります。土地を手に入れることは、大きな地球のわずかながらも一部を、自分のものにしていることです。

芝をはってテーブルセットを置き、子ども達と球遊びをする。ペット飼って運動をさせる。ガーデニングや家庭菜園で、花や野菜を育てる。絵に描いたような庭での生活はたくさんあります。「おうち時間」が増えた今だからこそ、加えたい楽しみです。

その庭には、さまざまな植栽があります。その庭木によって、建物の見栄えも大きく変わります。加えて、家の中から窓越しに見る風景も大きく変わります。では、庭にどのような木を植えたら良いのでしょうか。

家の外装やインテリアを選ぶ以上に、庭木を選ぶのは不慣れなものです。その上、数え切れないほどの種類があります。その組み合わせは、無限にあるといっても過言ではありません。

庭木を選ぶのに、最初に知っておきたいのは、植栽の分類です。

庭の中でシンボルとなる庭木は、1~2本もあれば十分です。また目隠しを目的とする場合もあります。家の中にいて、窓から見える庭木が、四季を感じられる風景になるとたのしみは倍増します。

さらに植木の特徴や植生による分類もあります。たくさんの植木の中から選び出すのは、さすがに庭師のプロでなければできないことです。そんな時に少しでも自分のイメージを伝えるためには、分類を知っているに越したことはありません。

▢シンボルツリー    目隠し

木陰をつくる     季節を楽しむ

好みを生かす
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いちばん単純な分類は、高さです。

一般的な住宅の庭木であれば、中高木と小高木・低木で十分です。さらに中高木には、単幹という一本の太い幹がある樹形と、複数の幹が立っている株立ちの樹形があります。

シンボルツリーや木陰を求めるのであれば、中高木の中から選びますが、木陰を利用するには、株立ちよるも単幹のほうが適しています。中高木は、シンボルツリーとして庭の方向性を決めることにもなります。

中高木━━単幹
   
      ┗株立ち
小高木

低木

目隠しには小高木が適していて、庭全体のデザインのバランスを保つためには、低木を添えることも欠かせません。

さらに、このほかにも草やグランドカバーといった植物も庭づくりには必要です。

また、庭木を選ぶ上での特徴として、次のような分類があります。

常葉   落葉

針葉   広葉  笹竹  

葉のサイズ:大   中   

葉の色:
濃淡彩度  
    
カラーリーフ

庭木を分類する

庭木を選ぶ際に、さらに分類しておいた方が良い項目はまだあります。

日照(陽性・半陽性・中庸・半陰性・陰性)

成長(早い・遅い) 塩害(強い・弱い)

虫害(強い・弱い) 大気汚染(強い・弱い)

日本の山々に訪れる秋は、さまざま色に彩られています。それだけ多くの樹種が生育できるだけの環境に恵まれているのです。季節の変わり目を、自分の庭を見ながらも感じられたら、これほど贅沢な住まいはありません。

庭づくりといえば、ブリティッシュガーデニングのように欧風の庭づくりもありますが、日本の庭づくりとは大きく傾向が違います。南欧の庭では、オリーブやゲッケイジュを中心とし、北欧ではブナやナラ、あるいはコニファーなどの花を楽しむような樹木はあまり使われません。また庭を彩る植物も、チューリップのような球根類を植える傾向があります。

それに対して日本の庭では、梅や桜を代表する花木を植え、ツワブキのような冬に花を咲かせる多年草を植えて四季を楽しむ庭とします。花や紅葉を楽しむ庭木の選び方は、日本ならではの楽しみなのです。

花:▢なし ▢あり(春・夏・秋・冬)
         (白・黄・紅・青・他)

実:▢なし ▢あり(白・黄・赤・黒)
         (食用・非食用) 


また、木に花が咲けば、やがて実がなります。それは人が食べる実ばかりではなく、鳥が好んで食べる実もあります。

たとえば、ツバキやエノキの実がなれば、それを好物にしているヒヨドリやメジロがやってきます。

食べられる木の実をつける木

●ブルーベリー  ●レモン
●クワ      ●オリーブ
●ジューンベリー ●トキワヤマボウシ
●ラズベリー   ●カキ
●ナツメ     ●セイヨウサンザシ
●イチジク    ●ヤマナシ

美しい木の実をつける木

●ベニシタン  ●ムラサキシキブ
●ピラカンサ  ●クチナシ
●ナツグミ   ●イチゴノキ

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さらにそれぞれの地域の気候によって、育つ庭木の種類も違います。日本は南北に国土が長いので、間違えて選ぶと、結果的には枯らしてしまったり、想定外に大きく育ってしまったりして庭を崩すことになりかねません。

もちろん庭木を選ぶことは、自分の庭の楽しみであると同時に、地域の環境作りにもなります。その意味では、環境に適した木を選ぶことも大事です。


「窓枠から見える風景~庭木選びのたのしみ~②」へ続く…
出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

水周りの文化~最も進化し続ける場所~③

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みなさん、こんにちは!

前回は、日本はトイレの先進国になっている。というお話をしました。

今日はその「水周りの文化~最も進化し続ける場所~②」に続き、その③をお送りします。

ハーフバスルーム

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トイレの機能は、設置する機器に任せるとして、設計する上で、いくつかのポイン卜があります。たとえばトイレの出入口戸は、基本的には内聞きとならないようにします。

トイレ内で急に人が倒れた時に、内開きにしていると、倒れた人の身体が邪魔になって、扉を開けることができなくなってしまうのです。

かといって、狭い廊下に外開きに扉をつくると、廊下を歩いている人に当たる可能性もあります。引き戸にすると解決しますが、開き戸よりも気密性が低く、トイレの匂いが漏れて不適とされてきました。しかし便座の機能が向上することで、心配なく引き戸にできます。

同様に、古い家では換気のために必ずあったトイレの窓も、必要性が薄くなってきました。逆に高気密住宅では換気経路をしっかり確保することが大切であり、トイレの窓を聞けると性能を発揮できないこともあります。

必要がなくなった窓のかわりに、少し広めのトイレはどうでしょうか。

北米では、日本でいう「〇LDK」という間取りの目安のかわりに、ベッドルーム数「〇&half」というバスルームの数を目安にしています。バスルームの数が多いほど、豪華な家となります。

この時のハーフ・バスルームとは、特にリビング近くにつくる、ゲストも使う、飾りつけたトイレのことです。トイレの機能を先進にした日本であれば、こうしたトイレの設計面のトレンドが生まれても良いのかも知れません。

グルーミングルーム

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トイレや浴室に比べると、洗面の機能は限られています。シャンプーができる洗面も、すでに特殊なことではありません。

広く普及している洗面は、浴室の隣にあり、脱衣室と洗濯室を兼ねていることが多いようです。洗面台の隣に洗濯機があり、誰かが入浴してる時には洗面が使えません。また、グルーミングとして洗面を使うことを考えると、隣に洗濯物などが重なっているのは、少し興ざめします。

たとえば、脱衣や洗濯室とは分けて、グルーミング用の洗面を設けることで、ちょっと水周りの設計も変わってきます。

空間を分けた脱衣や洗濯室には、しっかりと収納を確保して、家族の下着類を保管すると、入浴時の動線も機能的になります。

さらにコロナ禍を経て、洗面は玄関近くに移動しようとしています。手洗い・うがいが日常化しようとしている今、家の奥に洗面があっては菌を持ち込むことになりかねません。

すでに国も動き始めている新しい住宅の工コポイン卜制度でも、玄関付近に設ける洗面があることが条件のひとつにあげられています。外から帰ってきた子どもたちも、すぐに手洗い・うがいをする習慣が身につくことでしょう。

家の中の水周りは、進化が早い分、現在の家がどんどん陳腐化してゆきます。十数年もすれば、洗面の位置で古い家かどうかを確認できるようになるのかもしれません。

また居室以上に動線や家族問の利用方法など、ライフスタイルを反映している場所でもあります。最新の家のマドリを見るときにも、水周りの収まりに注目しておきたいものです。

いつかはリフォームや家を新築する時のために、水周りの文化を知り、自分流の使い方を観察しておくこともお勧めいたします。


出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

水周りの文化~最も進化し続ける場所~②

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みなさん、こんにちは!

前回は、火を家の中に取り込むことよりも、水を家の中に取り込むことの方が、数段に難しく、高度な技術を要していた。というお話をしました。

今日はその「水周りの文化~最も進化し続ける場所~①」に続き、その②をお送りします。

お風呂の国

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水周りの文化を語る時、世界の中でも特に日本が特殊な生活文化を持っているのが浴室です。シャワーを中心とした浴室ではなく、湯船に浸かる風習があります。

しかも、16世紀の戦国時代に日本を訪れた宣教師の文献にも書かれているほど、入浴回数が多いのです。ヨーロッパから地球を半周してたどり着いた国が、文明の進んだ自国よりも清潔な生活をしていることに、心から驚いていたのです。

お風呂に入ると、一日の汚れを落として清潔が保たれます。そして湯船に浸かると、大きく息を吐いて一日の心のストレスを解消し、温まることで免疫力を向上させて健康になります。

さらに温かい血流は脳にも巡り、お風呂は新しいアイデアや発想を生みだす場所にもなります。その上、一度上がった体温が下がることで、より良い睡眠へと導いてくれます。

加えてさまざまな湯の効能も活用する入浴習慣は、日本人の大発明といえます。本来は日本でも共同浴場であった風習を、今では一家に一つの浴室が実現されています。

この浴室が、近年、工場生産によるユニット化で、さらに劇的に進化しました。それによって水仕舞いの性能は大きく向上し、水漏れの心配もほとんどなくなっています。

そのユニットバスでは、下に潜り込んで点検やメンテナンスを行うこともできます。それは、ユニットを交換すれば、いつでも浴室の機能や配置を変更できるようになったということでもあります。

また、2階に浴室を設けることもでき、設計の幅も広がりました。欧米のように、寝室の近くに設置することも簡単にできます。

さらに、シャワーヘッドの機能によって、シャワーの種類も豊富にあり、ジェットバスやマイク口バブル、腰湯など、入浴ライフも変わります。もちろん、水垢が溜まりにくく、水はけの良い床材や、力ビの生えにくい目地の少ない浴室壁もあります。

さすが、お風呂の国ならではのバリ工ーションになっています。

トイレの先進国

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お風呂と同じように、日本のトイレに世界が驚いています。先の16世紀の宣教師も清潔感に驚き、現代のハリウッドスターなどの海外セレブも、日本のトイレを体験して、その快適さを忘れられないといいます。

日本の一般家庭では、温水洗浄便座の普及率は80%を超え、100世帯あたりの設置数は111台。つまり、世帯数よりも多くの洗浄便座が設置されています。日本人にとっては、普通の生活の一部となっていますが、外国人にとっては特殊なトイレです。

このトイレも、じつは毎年のように進化しています。なによりも、洗浄に使う水の量が少なくなっています。

古いと10Lほど使っていた水量が、今では半分以下になっています。世界中で、水不足も深刻化していて、地域によっては6Lまでの水量の規制もありますが、日本のトイレが解消します。溜めていた水を単純に流すのではなく、水道の圧力も利用して渦流を作ることで、少ない水でも力強く流せるように設計されています。

水流だけではなく、特殊なセラミック塗装技術で汚れをつきにくくしたり、形状を工夫することで、掃除しやすい形にしています。その他にもさまざまな機能を持ったトイレが開発されていて、初めて見る人には、まるでトイレの形をしたロボットのように感じるかもしれません。まさに、日本はトイレの先進国になっています。

トイレの最新機能
・脱臭機能    ・温風乾燥
・ノズル洗浄   ・暖房便座
・衛生便座    ・ダンパ一式
・便座&蓋    ・蓋の自動開閉
・飛び跳ね防止泡 ・トイレ収納

これらもすべて、トイレ便座が改善されることによって達成されてきたものですが、和式トイレはすっかり消えて洋式化されたことに始まります。排水の技術が進むことで衛生的になり、普通の部屋と同じようにトイレを扱うことができるようになりました。これによって、トイレも居室や廊下とまったく同じ床材で仕上げられるようになりました。


「水周りの文化~最も進化し続ける場所~③」へ続く…
出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

水周りの文化~最も進化し続ける場所~①

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みなさん、こんにちは!

コロナウィルスによって、新しい生活様式が生まれようとしています。さまざまなきっかけにより世の中の多くのものが進化をくり返しています。もちろん家も、その例外ではありません。家の中でも水周りは最も進化してきた場所であり、世界の国々によって、その文化の違いを見ることもできます。と‘の家にもある水周りの文化を知ることで、これからの新築やリフォームへのヒン卜を探ってみました。

人類の家

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人が人であるための大きなポイン卜のひとつに、家を構えることがあります。

もちろん、人間以外にも巣をつくる動物はたくさんいますし、中には建築物ともいえるほどの居住施設を築き上げる動物もいます。人間にいちばん近いとされる類人猿の多くは、巣を持たないで遊動生活を行なっていることを考えると、家があることは人間らしさの原点であるといえます。

現実に、家を持たない人聞は、本当に特別な事情がない限りいないといっても過言ではありません。

その人類の家の始まりが、シェルターであったことは容易に想像がつくことです。外敵となる動物から身を守ることはもちろん、風雨や日照を含めて暑さや寒さを和らげるためのシェルターが大いに役立つていたはずです。

その大きな役割が、身体を横にして休めるためであったとすると、人類の家は寝室から始まったと考えられます。未聞の部族のドキュメンタリーを視聴していると、まさにその通りで、調理等は屋外で行われているシーンを見かけます。個別の家は、寝室そのものです。

でも、日本に残されている竪穴式住居を見ると、家の中に炉の跡が残されています。人類は火を上手にコントロールできるようになって、家の中に持ち込むことができるようになったのでしょう。その名残りともいえる囲炉裏は、日本では地域によって、昭和の後半まで残されていました。

囲炉裏のある空間を考えると、人類の家はダイニングであったということもできます。火が家の中に入ることによって、暖を取るだけではなく、煙に燻されることによって殺菌の効果も上がったと思われます。木材の腐食菌も抑えられて、家はより長持ちするようになります。

さらに地域による素材の違いや、家族の形態などの社会的な要因が加わって、現代の家まで進化してきます。でも、寝室やダイニングがあるというだけなら、わざわざこうして人類の長い歴史を語らなくてはならないほど、ゆっくりとした進化でしかありません。逆に、家はそれほど変わっていないとも考えられます。

外から内ヘ

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そんな昭和の時代まで変わっていなかったとも思える家が、この半世紀ほどの期間に大きく変化した部位があります。それが水周りです。

火を家の中に取り込むことよりも、水を家の中に取り込むことの方が、数段に難しく、高度な技術を要していたということなのでしょう。

火と違って、水は家の中に引き込む必要もあれば、汚れて不要になった水を衛生的に排出する必要もあります。じつは家の水周りが、外から内に取り込まれたのは古いことではないのです。トイレやお風呂、あるいは炊事場が、家の中ではなく離れにあった時代を経験している人や知っている人が、まだまだ周囲に多く居ると思います。

当然のことながら、家の間取りの中でも水周りの歴史は決して長く積み重ねられてもいません。それもあってか、今住んでいる家に対する不満の多くが、水周りに集中することにもなります。

逆に考えれば、まだまだ工夫の余地があるのが、水周りでもあるということです。


「水周りの文化~最も進化し続ける場所~②」へ続く…
出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

ユカ座とイス座~リビングにどんな椅子を置く?~③

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みなさん、こんにちは!

前回は、茶の湯が始まった頃には、じつは日本にはまだ正座の風習がなかったとされていた。というお話をしました。

今日はその「ユカ座とイス座~リビングにどんな椅子を置く?~②」に続き、その③をお送りします。

ユカ座の椅子

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たとえば座椅子というのは、その象徴のアイテムです。あぐら座の時の腰への負担を軽減してくれます。同様に、正座のひざの負担を解消してくれる、おじゃみ座布団などもあります。いずれもユ力座の生活を豊かにするものです。

イス座でも最近聞かれるようになった力ウチ型のものは、日本人に取り入れやすい椅子です。背もたれのつき方が特徴的で、通常の椅子の座り方をせず足を伸ばして座れるようになっています。力ウチは元来、椅子ではなくデイベッドであり、その名の通り昼寝に使うベッドの類でした。

この力ウチをダイニングとリビングとの聞に置くと、ダイニングにもリビングにも向かって使うことができます。もちろんユ力座のリビングで背もたれにすることもできます。これによってイス座とユ力座の空聞が、ゆるやかな関係で結ばれることになります。

リビングに置きたい椅子

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ここまで多くの人が希望するユカ座の暮らしを考えてみて、逆に私たち日本人がリビングの本当の使い方を、まだ理解していないのかもしれないという疑問もわいてきます。それはイス座の暮らしを実現するのに、椅子の中でもソファを選んでいるからなのかもしれません。

正倉院にも残っているように、椅子には宝物の家具としての価値もあります。極端な事例では、座るための椅子ではなく、飾るための椅子としてのデザインを求めたものまであります。そうであれば、自分の個性を椅子で表現して、その椅子に腰かけるための空間がリビングであると考え直すのです。これによってリビングの使い方は椅子の選び方の問題となります。
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ほんとうに家族が集まる場所としてリビングをつくるのであれば、ユ力座の暮しの方が日本人には向いているでしょう。しかし、自分のこだわりの椅子を置くと空間がまったく変わってしまいます。たとえばそれを象徴するのは、ロッキングチェアです。その椅子によって自分の世界がっくりだされます。

特に1人掛けのシングルチェアなどには、名作と呼ばれる椅子がたくさんあります。バルセロナチェア、シエーズロング、工ッグチェア、ベアチェア、イームズラウンジチェアなど、これらの椅子は座ると不思議に独特の個人の空間をつくりだしてくれます。もちろん名品だからこそ、くつろぎの格も違います。

良い椅子は時代を超えたデザインであり、古びれてくるほどに風格が増します。急いで手に入れなくても、いつか手に入れて自分の家に置くのも良いでしょう。

リビングにはソファではなく、こうした椅子を置くことを一度イメージしてみてください。それが本当のイス座の心地よさを教えてくれることになります。それは新しいリビングの過ごし方を発見したことにもなるはずです。


出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

ユカ座とイス座~リビングにどんな椅子を置く?~②

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みなさん、こんにちは!

前回は、日本人がユ力座の暮らしを忘れられないのには、上足の文化が残されていることが大きい。というお話をしました。

今日はその「ユカ座とイス座~リビングにどんな椅子を置く?~①」に続き、その②をお送りします。

ユカ座のはじまり

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日本の茶の席では、正座からのきれいな立ちあがり方が定められています。主人も客人も互いに相手の反対側にある足を立てることから動きだします。相手に尻を見せずに、美しくふるまうための行動の美学です。

ところが茶の湯が始まった頃には、じつは日本にはまだ正座の風習がなかったとされています。当時は韓国と同じあぐら座や立膝で座るのが普通だったようです。もちろん千利休が座る姿勢も同様で、現代から考えると立膝やあぐら座でお茶を点てて飲むのはなかなか想像しにくいことです。

その後、日本では正座が定着することになります。石に紙が貼られただけの韓国のオンドルよりも、厚みがあって柔らかい畳の上の方が正座に向いています。さらに服装も、チョゴリの衣装より膝が締められている和服だから、正座の風習が広まったとも考えられます。

いずれにしても畳が広がり、数寄屋造りの家が建てられると、日本人は正座をすることが普通なりました。江戸時代を通じて400年ほど続くと、すっかりユ力座の暮らし方が身体に染みこみました。

ところが、正座という呼び名は明治時代につくられたもので、本来は端座とか「かしこまる」といわれていました。

イス座の普及

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文明開化とともに、西洋の生活様式であるイス座が入ってきました。しかし、すぐに受け入れられたわけではありません。食卓も近年まで、ユ力座で使う「ちゃぶ台」が一般的でした。

ところが戦後にはあっという聞に、イス座の生活が普通になりました。今では、椅子がまったくない家は、おそらくないといっても良いでしょう。

そして正座やあぐら座に苦痛を感じる人もたくさんいます。正座は膝や足首への負担が多く、あぐら座は腰や背筋への負担があります。その点の快適さは、イス座の方がずっと楽です。たとえば、介護を考えても、立ちあがりやすい高さにあるベッドや椅子の方が便利です。

歴史の上で意外なのは、正倉院の所蔵品の中にも椅子があることです。室町時代や平安時代には椅子が使われていた時期もあります。さらにさかのぼると、埋葬品としての埴輪にも椅子に座った姿の出土品もあります。決して日本人が椅子を避けてきたわけではありません。

そんな椅子の歴史もあるのに、今また、ユ力座の暮し方が求められています。ソファを背もたれにして床に座ったり、ソファの上にあぐらをかいて座ったりしているのです。まるで、腰かけるための椅子としては、まったく別の使い方を考案したのと同じです。

ユ力座にしてもイス座にしても、生活スタイルを決める大切な要素です。特にくつろぎをテーマにするスペースでは、よく考えておく必要があります。


出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

ユカ座とイス座~リビングにどんな椅子を置く?~①

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みなさん、こんにちは!

靴を脱いで過ごす日本人には、どうやら音からの床に座る暮らし方がいまだに根づいているようです。普段の生活の中でくつろぐときには、あなたはどのように座っていますか。床に座るか、椅子にかけるか。日本人のリビングでの過ごし方を改めて考えてみましょう。

根深いユカ座志向

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部屋の使い方で、ソファに座っている人の3倍近くが、床や座椅子に座っているという調査があります。どうやら日本人の暮らしには、根深いユ力座志向があるようです。しかし昔からの座敷の生活を復活し、続けたいと考えられているわけではありません。それは和室が失われつつあることを考えればわかります。

こうした強いユ力座志向がある一方、家具店に行くと、立派な応接セットが並べられています。もちろん、それだけ購入される人も多いということです。でもユ力座で使えるダイニングセットは、あまり見かけません。キッチンの高さを考えれば、椅子を使ったダイニングセットがなければ暮らしにくいでしょう。

どの家にも椅子がありながら、多くの人がユ力座の暮らしに憧れているということになります。知れば知るほど、日本人にとっては、ユ力座とイス座の関係は複雑なものに思えてきます。

実際に家を新築して暮らし始めている人たちのデータからも、その迷いを見ることができます。新築して住み始めた500軒以上の家庭に対する調査から見えてくることです。
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たとえば、ソファセットを所有している家庭の割合は、62.1%です。ユカ座の暮らしをしたい人が72%であることを考えれば、思った以上にソファセットを置いている家庭が多いのです。

ところが同じ調査で「ソファに背をもたれて床に座ることが多い」と答えている家庭も、30.0%あります。これらのデータを見る限りは、ソファを所有しながら、ソファに座っている人は、およそ半数です。せっかくソファを買っても、実際は背もたれにして使っているのです。普段の生活の中で、思いあたる人も少なくないのではないでしょうか。つまり、リビングではソファに座る人と、床に座る人、そしてソファはあるけどソファに座らない人たちがいることになります。

このようにユ力座とイス座の暮らし方が分かれるのは、リビングです。それはリビングの使われ方が明確になっていないことの表れでもあります。同調査のデータを見てもそれがわかります。

これらを見ると、イメージしている以上にダイニングの役割が高いことがわかります。そして新しいリビングにソファセットを置いてみても、実際にはリビングが使いこなせていないのです。

では、日本人に合ったリビングの過ごし方とは何でしょうか。本当のリビングの過ごし方を学ぶ機会もなく、リビングの価値にまだ気づかされていないのかもしれません。

床に座るか?、椅子にかけるか?あなたの暮し方はどちらですか。

上足の文化

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日本人がユ力座の暮らしを忘れられないのには、上足の文化が残されていることが大きいと思われます。玄関の上り框で靴を脱ぐことで、室内には清潔感が保たれています。そのため気持ち良く直接床に座ったり、寝転んだりすることができます。

また、畳が普及したこともユ力座の風習を築く大きな要因になります。本格的な和室でなくても畳を敷きたいと思う人は、まさにユ力座の暮らしを望んでいる人です。ユ力座の暮らしを望む人の中には、椅子にかけるよりも床に座る方が姿勢を保てると感じているも多くいます。

同じように上足のスタイルである韓国では、オンドルが畳と同じ役割を果たしました。床暖房としてのオンドルは、石の床材の上に紙を貼って仕上げてあリます。床暖房では、やはり直接座るのが、気持ちの良いことです。日本と韓国のどちらの国も、イス座の国である中国の影響を大きく受けながらも、ユ力座の暮らしを失っていません。

面白いことに同じユ力座でも、実は日本と韓国では座り方に違いがあります。日本では正式な座り方は正座とされ、韓国では男性はあぐら座で、女性は立て膝で座るのが正式な座り方です。


「ユカ座とイス座~リビングにどんな椅子を置く?~②」へ続く…
出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

住宅の骨組み「スケルトン」~資産価値を守る家にするために~②

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みなさん、こんにちは!

前回は、柱や梁を大事にさえすれば、間仕切りや設備機器を並べるのは自由に再生できる。というお話をしました。

スケルトンとインフィル

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長く使えるための骨組みをしっかり考えて、時代に合わせた改修を進めてゆくために、建築の世界で使われている言葉が、スケルトン・インフィルです。これまで書いてきた住宅の骨組みがスケルトンであり、使う人によって、あるいは時代によって改修する間仕切りや設備機器などをインフィルと呼びます。

小中学校の理科室にあった骨格見本を、スケルトンと呼んでいることを思い出せば、骨組みを表していることは想像しやすいかもしれません。インフィルは聞きなれない言葉ですが、その対となっているもので、骨組み以外はすべてインフィルと考えれば良いでしょう。住宅では、設備部品や内装材、さらには生活のために揃えられる家具もインフィルの一部です。

スケルトンがしっかりしていれば、内装や家具を変えながら長期にわたって住み継ぐことができます。持続可能で長持ちする家を考える時には、このスケルトンとインフィルを区分して考えます。

さらに、仕上げや設備機器などの比較的寿命が短いものをインフィルとし、逆に長く持たせるものをスケルトンと考えても良いかもしれません。当然、構造強度や断熱性などの性能もスケルトンと考えることが多いようです。

ただ、古民家が再生改修されるのには、現代生活に合わせた設備機器が設置され、インテリアを変えるのはもちろんですが、耐震補強と、しっかりとした断熱材を充填して、住環境を整えることも行われます。つまり性能もインフィルになりえます。戸建住宅のスケルトンは、本来の意味通り、木材の柱や梁といった骨格そのものを指していると思った方が良さそうです。

家は、柱がなければ建ち上がらず¥梁がなければ2階の床や屋根が掛からないことは、誰でも想像ができることだと思います。このスケルトンがあって初めて空聞が確保され、さまざまな使い勝手やデザインの検討ができるのです。住宅のスケルトンをよく知れば、理想的な設計もわかり、最初にあげた骨組みの価格の価値もわかるようになります。

環境貢献と資産価値

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住宅のインフィルである仕上げ材や設備機器などは、年数を経るごとに損傷や故障が増え価値が低下します。だからこそ、メンテナンスに加えて、時には入れ替えも必要です。

しかし、スケルトンに使われている木材は、基本的には100年以上の耐久性があると考えられています。現実に、木造でも一千年を超えて残されている建築物があります。

それ以上に、木材をしっかりと長く使うことは、地球環境にも貢献できることです。

住宅のスケルトンとして使用できるまで樹木が生長するのには、通常40年~60年はかかります。よく知られている通り、樹木は光合成によって空気中のCO₂を集めて生長しています。その生長期間よりも短く使い捨ててしまうことになれば、環境破壊となりかねません。

さらに、生長した樹木をすべて使い切っているわけではありません。丸太の中から端材を切り落として、四角い木材として使用しています。こうして刻んで燃やしてしまっている分を計算に入れると、少なくとも100年は使用する必要があります。木材というのは、それほど貴重な地球の資源なのです。

それに加えて、木材の供給には原生林などの違法伐採の問題も抱えています。地球環境の保全などを考えれば、これまで以上に、木材は資源として貴重なものとなる可能性は高いといえます。

木材が不足して高価なものとなれば、さらに木造住宅を新築することは難しくなるかもしれません。その時には、住宅のスケルトンは、まさに資産としての価値そのものとして考えられるようになるのではないでしょうか。

最初は単なる建築費の内訳書でしかありませんでしたが、スケルトンである木材の価値に着目すると、大きなテーマが隠されていることに気づかされます。家のスケルトンである材木の価値を知り、大切にしてゆくことは、結果的に自身の資産を守ることにもつながっているのです。


出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

住宅の骨組み「スケルトン」~資産価値を守る家にするために~①

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みなさん、こんにちは!

日本の家は、30年ほどで価値がなくなるという話をよく聞かされます。でも、建築後100年以上経った家も、まだまだたくさん残されていて、古民家再生で生き返る家も少なくありません。逆に古い家ほど立派な骨組みがあり、改装して新しい家に負けない快適さを実現できます。スケルトンといわれる住宅の骨組みについて考えてみましょう。

骨組みの価格

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突然ですが、2500万円ほどの家を建てるとして、骨格である柱や梁などの木材に、どれくらいのコストがかかっていると思いますか。

家を建てるのには骨組みの他にも、壁の仕上げや、キッチンや浴室などの設備機器を設置しなければ住めるまでの空間になりません。大規模な改修工事などでは、骨組みだけを残してすべてをやりかえることも珍しくあリません。

それだけ骨組みは建物の主要部分でもあり、間違いなくすべての部材の中で最も長持ちする材料であるはずです。コストを考えれば、おおよそ半分近くのコストがかかっていると想像しても普通であると思います。

建設費用の事例として、公開されている工事価格の内訳を見ると、具体的な価格が見えてきます。延べ床面積35坪ほどで、約2,570万円の家の工事費内訳です。

この中で、骨組みである柱や梁にかけられている費用は116万円です。金額にしてみると、全体の5%にもなりません。坪単価として換算してみると、3万3千円/坪ほどが、家の主体となる骨組みの木材の価格ということです。その他に面板や羽柄材を全部合わせても使っている木材の量は17㎥ほどで、総額217万円、8%ほどです。
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この柱や梁の上に、床や壁が作られ、すべての部材が積載されていると思うと、意外に安いと思う人も少なくないのではないでしょうか。外壁や内装工事の方がずっと高く、さらに旧排水設備工事費は3倍にもなります。

こうした骨組みに使われる木材の価格は、国産材とかの産地や樹種、そして無節といったの木材のグレード、さらに木材の乾燥率などによって遣います。でも、多くの場合は建設会社に任されていることがほとんどで、施主が指定することは珍しいことです。

その上、たとえば高級住宅であっても、骨組みの木材量が大きく変わるわけではありません。その上多くの場合は、骨組みの木材を組み上げて内外装の工事を済ませれば、見えなくなり知らないままになってしまいます。

また、大手メー力ーの木造住宅では、供給を安定させるために、世界的に流通しているホワイトウッドなどの外材を使うことが多くなります。これらの材は比較的安価な材である上、さらに大量に買いつけることでコストを下げています。

そのように考えると、本来は最も資産価値として残される骨組みに、大事なコストをかけていないということになってしまいます。ですから、工事費の見積書を見る時には、木材の種類やグレード、そして乾燥率を確認しておくことが大事です。このポイン卜に絞り込んで比較してみるだけでも、建設会社の判断のポイントになるはずです。

そして、できれば建築現場を見せてもらうことです。工事途中でなければ、骨組みをしっかりみることはできません。決して白くてきれいに見える木材が、良いとは限りません。

古民家再生

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建設現場以外に、木造建築の骨組みを見ることができるのは社寺や古民家です。現(あらわ)しといわれて、これらの建物では骨組みが表に見えています。

現代の住宅の骨組みと見比べてみると、柱や梁にはとても立派な木材が使われています。今の時代にこれだけの木材を揃えようと思えば、相当の費用をかけなければなりません。それだけでも価値はありそうです。

実際に古民家が解体されると、使われていた木材は価値のある古材として流通することもあります。

だからこそ、解体しないで古民家を再生して利用することを願う人もいて、生まれ変わっている古民家も多くあります。現実に同じレベルでの木材を揃えて再建築する手間と費用を考えても、さらに歳月をかけて乾燥し深みを増したことも価値の創造と考えても、簡単に手に入るものでもありません。

こうした古民家の再生に対して、忘れてはならないポイン卜があります。それは古民家の多くが、意外にも単純な構造になっていることです。

現代の一般大工にはできないような、木構造の技術の粋を集めて作られていることは間違いないのですが、逆に躯体の解析や設計スキルは拙かったので、平面的には規則正しく柱を並べて、極力単純につくられています。

このような建物の建て方は、「間面記法」と呼ばれ、現代の〇LDKと同じように、〇間〇面で建物の概要を表しています。京都の有名な三十三間堂は、柱を34本並べて柱間の数が33間ある細長い建物である堂という意味です。家を建てる時も、その間面で依頼すれば、建物の規模がわかり、さらには用途も察しがつきました。

このように単純な間面記法のつくりでできているだけに、柱や梁を大事にさえすれば、間仕切りや設備機器を並べるのは自由にして現代流の住み方に改修して再生できるのです。マンションのフルリフォームのようなものです。もちろん現代流のインテリアデザインにすることも可能です。

逆に細かい柱をたくさん立ててしまうと、改修してデザインし直すことは難しくなります。長く資産価値を確保するためには、こうした柱や梁の骨組みを想定して設計することがポイン卜です。


「住宅の骨組み「スケルトン」~資産価値を守る家にするために~②」へ続く…
出典:住まい文化研究会「おうちのはなし」

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